『法典』とは何なのか? 『法律』と『法典』とは何が違うのか? これは素朴でありながら、解答の難しい問題である。 豪華執筆陣による多面的な視点から、この『法典』の意味を探求し、読者に問いかける基礎法学入門書!
わが国の文献で現在、この「法典とは何か?」という問いかけに、正面から答えるものはない。 とりわけ「商法の解体」、「民法(債権法)の改正」という私法の重大な局面にある現在において、法典とは何か?を問いかける本書は、まさに時宜を得、非常に重要な内容をもっている。
具体的には、まず私法体系の統合・解体・そして再編・再統合というプロセスを法典という視点から再構成し、法典を主題にした総論的ないし歴史的観点から法を眺めていく(第1章〜第4章)。次に、ドイツやフランスをはじめとした、法典編纂に対する各国の考え方の違いを対比し、比較法的観点で各国の法文化を概観する(第5章〜第8章)。 最後に、EU私法、商法、消費者法など、立法政策的観点から法典に対する対応のあり方を眺めることで、法典に現われる立法政策の意義や多様さを検討する(第9章〜第12章)。
本書は、読者対象を初学者に設定し、各章の視点から「法典とは何か?」という、根源的な問い掛けを読者とともに考えていくと同時に、法学・法律学に必要な基礎事項をも学んでいく。 初めて法学・法律学を学ぶ方に最適であることはもちろん! 研究者に対しても重要な問題意識を提示する!

法制史研究 65号、2016年に書評が掲載されました。
法学セミナー 2015年1月号の「新刊ガイド」に書評が掲載されました。

はじめに
第1章 法統一のための法典編纂 T 法典編纂って何? U なぜ法典編纂なのか? V 何のための法典編纂? W 法典編纂はもう古い? X それでも法典編纂? Y 誰のための法典編纂?
第2章 近代日本の法典編纂 ―― その “始まり” の諸相 ―― T はじめに ―― 法典編纂を不可避とした条件 U 明治初期太政官制下の法典編纂 V お雇い外国人と法典編纂 W 法典編纂の技術と方法 X おわりに ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
【編者】 岩谷 十郎(いわたに じゅうろう) 1961年生まれ。慶應義塾大学法学部教授。 担当章:第2章「近代日本の法典編纂―その “始まり” の諸相」 主要著作として、『明治日本の法解釈と法律家』(慶應義塾大学法学研究会・2012年)ほか。
片山 直也(かたやま なおや) 1961年生まれ。慶應義塾大学大学院法務研究科教授。 担当章:第4章「法典と一般的法原則―法秩序の重層構造と動態的法形成」 主要著作として、『詐害行為の基礎理論』(慶應義塾大学出版会・2011年)ほか。
北居 功(きたい いさお) 1961年生まれ。慶應義塾大学大学院法務研究科教授。 担当章:第1章「法統一のための法典編纂」 主要著作として、『契約履行の動態理論T・U』(慶應義塾大学出版会・2013年)ほか。
【執筆者】 加藤 雅之(かとう まさゆき) 1974年生まれ。神戸学院大学法学部准教授。 担当章:第3章「脱法典化と再法典化」 主要著作として、「不法行為法における損害要件の意義―フランス法における賠償原理と損害要件の関係から」私法72号119頁(2010年)、『判例にみるフランス民法の軌跡』(共著・法律文化社・2012年)ほか。
水津 太郎(すいず たろう) 1977年生まれ。慶應義塾大学法学部准教授。 担当章:第5章「ドイツ民法典と法典論」 主要著作として、「ドイツ法における物上代位の理論的基礎(1)〜(4・完)」法学研究80巻3号21頁、4号45頁、5号25頁、6号33頁(2007年)、「代償的取戻権の意義と代位の法理」法学研究86巻8号33頁(2013年)ほか。
武川 幸嗣(むかわ こうじ) 1966年生まれ。慶應義塾大学法学部教授。 担当章:第6章「フランスの諸法典」 主要著作として、「解除の対第三者効力論(1)(2・完)」法学研究78巻12号1頁(2005年)、79巻1号61頁(2006年)ほか。
木原 浩之(きはら ひろゆき) 1975年生まれ。亜細亜大学法学部准教授。 担当章:第7章「英米法における法典化運動」 主要著作として、「改正UCC第2編における『合意』を基礎とする契約法理(1)〜(5・完)」亜細亜法学44巻2号210頁、45巻1号158頁、46巻2号148頁、47巻2号124頁、48巻2号116頁(2010〜2014年)ほか。
前田 美千代(まえだ みちよ) 1975年生まれ。慶應義塾大学法学部准教授。 担当章:第8章「ラテンアメリカと法典化」 主要著作として、「独立期メキシコにおける法典化前提要件の生成―中世スペイン法思想とフランス啓蒙思想、立憲主義と民法典」『私権の創設とその展開 内池慶四郎先生追悼論文集』(慶應義塾大学出版会・2013年)ほか。
中田 邦博(なかた くにひろ) 1959年生まれ。龍谷大学大学院法務研究科教授。 担当章:第9章「ヨーロッパ(EU)私法の平準化―ヨーロッパ民法典の可能性」 主要著作として、『プリメール民法1 民法入門・総則(第3版)』(共著・法律文化社・2008年)、『ヨーロッパ私法の現在と日本法の課題』(共編著・日本評論社・2011年)ほか。
松尾 弘(まつお ひろし) 1962年生まれ。慶應義塾大学大学院法務研究科教授。 担当章:第10章「開発における法典編纂」 主要著作として、『民法の体系(第5版)』(慶應義塾大学出版会・2010年)、『開発法学の基礎理論』(勁草書房・2012年)ほか。
高田 晴仁(たかだ はるひと) 1965年生まれ。慶應義塾大学大学院法務研究科教授。 担当章:第11章「『商法典』とは何か―法典化・脱法典化・再法典化」 主要著作として、『民法とつながる商法総則・商行為法』(共編著・商事法務・2013年)ほか。
鹿野 菜穂子(かの なおこ) 1959年生まれ。慶應義塾大学大学院法務研究科教授。 担当章:第12章「消費者法と法典化」 主要著作として、『消費者法と民法』(共編著・法律文化社・2013年)、『基本講義 消費者法』(共編著・日本評論社・2013年)ほか。
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