未知の法制度への転換に法律家はいかに呼応したか?
明治初期から大正期の陪審法に至るまでの法曹三者による法廷運営の中に、彼らの「目の高さ」に映じた変革の実相を読み込み、いわば制度の「内側」からの視点で近代法史を描写する。
明治初期からの制度機構論的な概説を叙述するとともに、法典転換期を背景とする刑法法理上のより個別的な問題関心を考察、近代法学識の学びと法学教育・学識審査制度の確立を論じ、20〜30年代に活躍する在野法曹への視点を提示するとともに、大正期の陪審法に至るまでの法曹三者による法廷運営の実際をフォローする大著。

日本歴史 2013年6月号にて前山亮吉氏(静岡県立大学国際関係学部教授)に書評いただきました(118-120頁)。

はしがき
第一章 明治太政官期法令の世界 序 一 明治前期の法令への視座 二 太政官期法令の概念 三 太政官期法令の形式化 結
第二章 訓令を仰ぐ大審院 序 一 司法省と大審院―「指令」業務と審級制 二 本章の視角と若干の資料的検討 三 大審院判決の形成と司法省のコントロール 結―明治一二年の最高法衙とその判事たち
第三章 司法官の近代法適 ……
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岩谷 十郎(いわたに じゅうろう) 慶應義塾大学法学部教授。1961年生まれ。慶應義塾大学法学部法律学科卒業、慶應義塾大学大学院法学研究科公法学専攻後期博士課程単位取得退学。 専攻領域:日本法制史、法文化論。 著書に、『時事小言 通俗外交論』(共編、慶應義塾大学出版会、2003年)、『福澤諭吉の法思想』(共編著、慶應義塾大学出版会、2002年)、『新体系日本史2 法社会史』(共著、山川出版社、2001年)、『法と正義のイコノロジー』(共編著、慶應義塾大学出版会、1997年)ほか。
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