第13回(2015年度)天野和夫賞を受賞しました。詳細はこちら
▼明治期から大正期への日本法学の転換期。 スイス法は我が国にどのような影響をあたえたのか?
従来ほとんど顧みられてこなかった我が国におけるスイス法の影響。法学者たちの相互主体的な人物交流の局面と、制度解釈の学説史的な局面とに分け、詳細かつ総合的な視点から、近代日本におけるスイス法の影響を比較法史的に論じる。
第一編では、人物史的観点から、2人の人物に焦点を当てながら、スイス法が日本へと入ってくる過程を見る。また第二編では、制度解釈の学説史的観点から、今日の日本の法学上の言説の中で、スイス法由来とされるひとつの議論に焦点を当て、それがスイス法のいかなる影響の下にあるかを考察する。
フランス法やドイツ法などの大規模な法典的継受を主軸として扱ってきたこれまでの日本近代法史の研究枠組みとは異なる視点から、細かな史実の実証的発見とその創発的な再構成を通して、従来ほとんど顧みられてこなかった我が国におけるスイス法の影響を、詳細かつ総合的な視点から論じた意欲作。

序 論 一 近代日本におけるスイスについての概観 二 法学領域における動向 三 本書の考察対象とその方法
第一編 近代日本とスイスの法学交流
第一章 ルイ・アドルフ・ブリデル(Louis Adolphe Bridel) 一 はじめに 二 ブリデルの生涯とその業績 1 来日までの経歴 2 ブリデル・東京帝国大学間の雇用契約をめぐる交渉 3 来日の理由 三 ブリデルの日本における活動 ……
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小沢 奈々(おざわ なな) 1977年生まれ。日本学術振興会特別研究員(RPD)、東京電機大学情報環境学部非常勤講師、白百合女子大学文学部非常勤講師、大妻女子大学非常勤講師。専攻は、日本近代法史・比較法史。 慶應義塾大学法学部法律学科卒業、ベルン大学法学部附属高等修士課程修了、慶應義塾大学大学院法学研究科前期博士課程修了、慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。LL.M(ベルン大学)。博士(法学)(慶應義塾大学)。 著書に、『法の流通』(共著、慈学社、2009)、“Louis Adolphe Bridel –Ein schweizer Professor an der juristischen Fakultät der Tokyo Imperial University-”(Frankfurt am Main, 2010)、『夫婦』(共著、国際書院、2012)。
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