Contents
目次
大正期日本法学とスイス法
A5判/上製/352頁
初版年月日:2015/02/28
ISBN:
978-4-7664-2201-6
 
(4-7664-2201-5)
Cコード:C3032
税込価格:7,700円
大正期日本法学とスイス法

目次

 序 論
  一 近代日本におけるスイスについての概観
  二 法学領域における動向
  三 本書の考察対象とその方法

第一編 近代日本とスイスの法学交流

 第一章 ルイ・アドルフ・ブリデル(Louis Adolphe Bridel)
  一 はじめに
  二 ブリデルの生涯とその業績
   1 来日までの経歴
   2 ブリデル・東京帝国大学間の雇用契約をめぐる交渉
   3 来日の理由
  三 ブリデルの日本における活動 ―― ブリデル・フーバー書簡からの考察
  四 スイス民法典の紹介
   1 講 義
   (一) 東京帝国大学「仏蘭西法」及び「独逸法」講義
   (二) 明治法律学校「泰西比較法制論」及び「法理学」講義
   (三) ブリデルの講義内容の変化
   2 スイス民法典に関する書籍・冊子の配布
  五 小 括 ―― ブリデルの活動の限界

 第二章 穂積重遠
  一 はじめに
  二 穂積重遠の生涯と学風の点描
   1 略 歴
   2 法律を学ぶまでの経緯、家族法を専門領域として選択した理由
   3 留学期に確立した学風 ―― 「社会学的研究」と「判例研究」 
   4 「法律」と「社会」とを歩み寄らせるための活動
  三 穂積重遠とスイス
   1 穂積重遠とスイス人法学者との出会い
   (一) 穂積重遠とブリデル
   (二) 穂積重遠とオイゲン・フーバー、そして日本人法学者との交流
   2 穂積重遠のスイス民法への関心
   (一) 「婚姻の解消」規定におけるスイス民法の参照
   (二) 「親権」規定におけるスイス民法の参照
   (三) 「家族制度」規定におけるスイス民法の参照
   (四) 家族法以外にみられるスイス民法への関心
  四 小 括 ―― 戦後民法改正へのまなざし

第二編 蘇る太政官布告
明治8年太政官第103号布告裁判事務心得第3条とスイス民法典第1条第2項

 第三章 日本の条理論とスイス民法
  一 現代の条理理解
  二 「忘却」「再自覚」を辿った太政官布告とスイス民法
  三 第二編の課題と方法

 第四章 制定時の太政官布告
  一 明治8年太政官第103号布告裁判事務心得第3条
  二 裁判事務心得の制定過程
  三 裁判事務心得の由来について
  四 制定時の裁判事務心得にみられる「条理」の位置づけ

 第五章 裁判事務心得第3条の消滅?
  一 法令集にみる裁判事務心得の効力の可否
  二 裁判事務心得の「消滅」の意義
   1 大日本帝国憲法
   2 裁判所構成法(明治23年法律第6号)
   3 民事訴訟法(明治23年法律第29号)
   4 旧民法証拠編第9条
   5 法例(明治23年10月6日法律第97号 / 明治31年6月21日法律第10号)

 第六章 消滅後の太政官布告
 ―― 「忘却」から「再自覚」へ
  一 明治23年「旧民法典公布」から明治31年「明治民法典施行」まで(前半期)
  二 明治31年「明治民法典施行」から明治末年まで(後半期)

 第七章 「再自覚」された太政官布告
  一 民法学領域における「条理」論
   1 松本烝治「民法ノ法源」(明治43年)
   2 石坂音四郎「法律ノ解釈及ヒ適用ニ就キテ」(明治45年)
   3 富井政章「自由法説ノ價値」(大正4年)
   4 杉山直治郎「『デュギュイ』ノ權利否認論ノ批判」(大正5年)
   5 穂積重遠『民法総論』(大正11年)
   6 我妻栄『民法總則』(昭和5年)
   7 末弘厳太郎「法源としての条理」(昭和24年)
  二 比較法学領域における「条理」論
   1 穂積陳重『法律進化論 原形論』(大正13年) 
   2 杉山直治郎「明治八年布告第一〇三號裁判事務心得と私法法源」(昭和6・7年) 
   (一) 研究の概要
   (二) 裁判事務心得第3条の比較法研究
   (三) 杉山の問題点

 第八章 穂積重遠の「条理」解釈
 ―― 大正4年1月26日大審院民事連合部判決「婚姻予約有効判決」からの一考察
  一 法律婚主義対事実婚主義
   1 太政官期法令、旧民法及び明治民法典に見られる「婚姻の成立」規定
   2 明治民法典制定後の社会事情
   3 婚姻予約有効判決(大正4年1月26日大審院民事連合部判決) 
  二 婚姻予約有効判決をめぐる穂積重遠の見解と「条理」論
   1 穂積重遠における内縁問題の基本認識とその解決の方向性
   2 穂積重遠による「婚姻予約有効判決」の評価
   3 穂積重遠の「条理」解釈
   (一) 条理の根拠条文としての裁判事務心得第3条とスイス民法第1条第2項
   (二) 条理と判例法の関連性
   (三) 「条理」規定の機能 ―― 重遠の判例研究からの分析
   (四) 条理裁判と民法改正
   (五) 条理裁判の立法的承認
  三 「条理」を重視する穂積重遠の真の目的

 第九章 日本近代法学における「条理」理解の転換

 結 論

 補 論 穂積重遠の法理論
 ―― 法律進化論を中心として
  一 法律進化論と「共同生活規範としての法律」 
  二 法律進化論と「法律と道徳」 
   1 法律進化論からみる重遠の「法律と道徳」
   2 具体的な法律問題にみる「法律と道徳」との関係について
   (一) 法律と道徳の分界 ―― 「家族法」「家族制度」における「法律と道徳」との関係
   (二) 法律の道徳化 ―― 信義誠実の原則と権利濫用の禁止
   (三) 「法律と道徳の交渉」としての調停制度

資料 穂積重遠の判例研究一覧
参考文献
初出一覧
あとがき
事項・人名索引
ページトップへ
Copyright (C)2004-2024 Keio University Press Inc. All rights reserved.