▼本書は、明治政府の議法機関・元老院(明治8〜23年)の創設から終焉までを通して検討した初の研究書である。創設時における複数の公議理念のせめぎ合いとその摺合せの政治的プロセスを明らかにし、制度と人の変遷、審議事項の包括的な検討を通して、議官たちの「立法」に関わる手探りの模索を詳細に解明。貴族院への人的な連続までを視野に収める。従来の研究では、帝国議会以前の過渡期的な機関に過ぎないとされてきた元老院の、政治史的な再評価を行う意欲作。

日本歴史 2015年11月号の「書評と紹介」(103頁)に書評が掲載されました。評者は、島善高氏です。

序 論
本 論
第一章 元老院の創設 一 はじめに 二 構想としての元老院 三 具体化される元老院 四 政争の場となる元老院 五 おわりに
第二章 草創期元老院議官考 ―― 意見書を通じて ―― 一 はじめに 二 草創期元老院の議官任命 三 元老院意見書 (一) 近代化 (二) 公議政治 四 おわりに
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著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
久保田 哲(くぼた さとし) 1982年生まれ。2010年、慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。博士(法学)。現在、武蔵野学院大学大学院国際コミュニケーション研究科准教授。 主要業績に、『グローバル化と日本の政治・経済 ―― TPP交渉と日米同盟のゆくえ』(共著、芦書房、2014年)、「現代日本の立法 ―― 日米比較を通じて」(『武蔵野学院大学日本総合研究所研究紀要』第10輯、2013年)、「『護憲』という言葉 ―― 憲法改正論議を巡る問題の所在」(『武蔵野学院大学日本総合研究所研究紀要』第11輯、2014年)、などがある。
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