鉄道や電信事業を推進したのは誰か。 明治初年、「工部の理念」のもとに、西洋技術による殖産興業を担う技術官僚たちがいた。 明治留守政府下の政治状況と工部省の政策過程を追った近代日本史の知られざる一面を考究した画期的論考。
「殖産興業」は、日本の近代化の過程を考える上で重要なテーマであるが、その多くは経済史の立場からの分析であった。本書は、これまで注目されてこなかったお雇い外国人や技術官僚に着目し、政治史の視点から、工部省設立の基礎となった「工部の理念」と彼らの政治思想を解明する。

社会経済史学 Vol. 7, No. 3(2010年11月)「書評」(139頁)にて紹介されました。

序章
第一部 工部省の成立と技術官僚 第一章 工部院設置をめぐる政治過程と技術官僚 一 はしがき 二 お雇い外国人モレルと「工部院建置之議」 三 「工部の理念」と技術官僚 四 民蔵分離と技術官僚 五 むすび
第二章 工部省設置過程と「工部の理念」 一 はしがき 二 民蔵分離後の政治過程 三 工部省設置をめぐる政治過程 四 設置時の工部省と「工部の理念」 五 むすび
第三章 草創期工部省の組織整備と ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
柏原宏紀(かしはら ひろき) 1978年生まれ。2003年、慶應義塾大学大学院法学研究科修士課程修了。2008年、慶應義塾大学大学院法学研究科政治学専攻後期博士課程修了。博士(法学)。現在、慶應義塾大学、洗足学園音楽大学非常勤講師。主要業績に、『戦前日本の政治と市民意識』(共著、慶應義塾大学出版会、2005年)、『現代政治学の課題』(共著、成文堂、2006年)、「明治五年の工部省の行政史的検討」(『法学政治学論究』70号、2006年)、「明治五年の工部省の政治史的検討」(『明治維新史研究』第3号、2006年)、『近代日本の政治意識』(共著、慶應義塾大学出版会、2007年)、「征韓論政変後の工部省に関する一考察」(『法学研究』82巻2号、2009 年)など。
|