産む身体を描く
ドイツ・イギリスの近代産科医と解剖図
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写真もレントゲンもなかった19世紀、新しい医学分野「産科」へ男性医師が参入するためには、解剖図が不可欠だった。
ドイツのイェーナ=ヴァイマルのゲーテとその周辺の人物、画家で産婦人科医でもあったドレスデンのカール・グスタフ・カールス、18世紀以来のイギリスで関わったさまざまな人々を通して、産科が成立する過程と絵画芸術(解剖図)の関係を、解き明かす。
はじめに
第1章 イェーナ=ヴァイマル――――Jena=Weimar イェーナ大学附属産院と専属絵画教師 詩人ゲーテとその周辺……石原あえか 1. イェーナ大学附属産院創設の歴史 2. ゲーテとヴァイマルの「自由絵画学校」 3. ベルトゥーフが出版したローダーの 『人体解剖図大全』 4. イェーナ大学専属絵画教師ルーとゲーテ 5. フロリープ父子―ベルトゥーフの後継医師達
第2章 ドレスデン――――Dresden カー ……
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【執筆者】(執筆順) 石原 あえか(いしはら あえか) 慶應義塾大学商学部教授。同大学院文学研究科博士課程在籍中にドイツに留学、留学先のケルン大学でDr.phil.取得。学位論文Makarie und das Weltall(1998)以来、ゲーテと近代自然科学を研究テーマとする。2005年にドイツで刊行した研究書Goethes Buch der Naturにより、DAADグリム兄弟奨励賞、日本学術振興会賞、日本学士院学術奨励賞を受賞。慶應義塾大学出版会刊行の著書『科学する詩人ゲーテ』(2010)でサントリー学芸賞受賞。また同会刊行の訳書にH. J. クロイツァー著『ファウスト 神話と音楽』(2007)、M. オステン著『ファウストとホムンクルス ゲーテと近代の悪魔的速度』(2009)がある。最新の単著は、日独近代三角測量史を扱ったDie Vermessbarkeit der Erde(2011、ドイツ)。
眞岩 啓子(まいわ けいこ) 早稲田大学、日本大学非常勤講師。上智大学大学院文学研究科博士後期課程修了。専攻はドイツ文学。主な研究領域は、ゲーテおよびゲーテ時代の美術、C・G・カールスの自然観。訳書に、『評伝シーボルト――日出づる国に魅せられて――』(講談社、1993年)、『ミッキー・マウス――ディズニーとドイツ――』(共訳、現代思潮新社、2003年)がある。
横山 千晶(よこやま ちあき) 慶應義塾大学法学部教授。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程修了。 専門は19世紀のイギリス文学およびイギリス文化。当時の表象文化、および身体研究が目下の研究テーマである。主要著作に『都市論と生活論の祖型――奥井復太郎研究』(共著、慶應義塾大学出版会、1999年)、ウィリアム・モリス著『ジョン・ボールの夢』(翻訳、晶文社、2000年)、『身体医文化論――感覚と欲望』(共著、慶應義塾大学出版会、2002年)、Japanese Women: Emerging from Subservience, 1869-1945(共著、Global Oriental, 2005年)、ジョージ・P・ランドウ著『ラスキン――眼差しの哲学者』(翻訳、日本経済評論社、2010年)などがある。
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