近代日本最高の名著が甦る。 ▼福澤諭吉『文明論之概略』(明治8年)は、維新革命後の日本が迎えた新たな状況を文明史的に考究し、社会に向けて「まずは西洋文明を目指すこと」を説いた。格調高い文章と、そこに込められた熱気によって、近代日本の名著のひとつに数えられている。 ▼その一方で、当時の知識人に向けた文章が現代人にはなじみにくく、これまで広い読者には恵まれてこなかった。本書は、福澤諭吉研究の第一人者が正確に現代語訳し、充実した注や解説を付した『口訳評注 文明論之概略―今も鳴る明治先覚者の警鐘―』(弊社刊、1972年)を改題し、さらに読みやすくするための再編集を行った。日本で唯一の現代語訳版『文明論之概略』である。 ▼安西敏三(甲南大学法学部教授)による1970年代以降の福澤研究の進展を視野に入れた補注、解題を掲載した。
本書は、日本図書館協会選定図書です。
週刊 東洋経済 2011年11月26日号「教養人の必読書 40冊!」の「日本と日本人を学ぶ」の10冊(61頁)にて紹介されました。
はしがき 凡例
緒 言 第一章 議論の本位を定むる事 第二章 西洋の文明を目的とする事 第三章 文明の本旨を論ず 第四章 一国人民の智徳を論ず 第五章 前論の続き 第六章 智徳の弁 第七章 智徳の行わるべき時代と場所とを論ず 第八章 西洋文明の由来 第九章 日本文明の由来 第一〇章 自国の独立を論ず
要旨・評説 注・補注 解説 解題(安西敏三) 索引
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【訳者】 伊藤正雄(いとう まさお) 明治35年(1902)生まれ。昭和2年(1927)東京帝国大学文学部国文学科卒業。神宮皇學館教授、甲南大学教授、神戸女子大学教授を歴任。甲南大学名誉教授。昭和53年(1978)死去。 主要業績に、『福澤諭吉入門』(毎日新聞社、昭和33年)、『学問のすゝめ講説』(風間書房、昭和43年)、『福澤諭吉論考』(吉川弘文館、昭和44年)、『資料集成 明治人の観た福澤諭吉』(編、慶應通信、昭和47年[平成21年、慶應義塾大学出版会より復刊])などがある。近世文学の研究書、エッセイも多数。 【補注・解題】 安西敏三(あんざい としみつ) 甲南大学法学部教授、法学博士。 1948年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科単位取得退学。
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