戦後日本の労働運動の実態を赤裸々に描写。 ▼近年普及しつつある「オーラルヒストリー」の研究手法を用いて、旧同盟系労働組合の中心的オルガナイザーとして活躍した早矢仕不二夫(はやし・ふじお)氏の口述を編纂。戦後日本の軌跡を辿る超一級の歴史証言。 ▼資料が乏しく不明な部分が多かった中小企業の労働組合運動について、その実態・過程を明らかにする。また、組合側から見た生産性向上運動の実態や、同氏が深く関わった統一労働協約締結までの過程などが仔細に語られており、関係者ならずとも興味深い。 ▼最終章では、早矢仕氏の労働運動観、若手労働運動家へのメッセージなどが記されており、今日の激動する労働市場環境や変容する労働組合運動を考えるうえでも、貴重な証言となっている。
▼人間を大事にする社会を作るというのが、労働運動の原点だと思っています。現場を歩いて、現況を自分の目で見て、体で知って、その解決のために、小さいことでも、どういうことが必要なのかを考えるということが大事だと思います。そして、長く会社に尽くしてきた人が大切にされる仕組みを作らなければいけない。・・・・・・日本は用済み、廃棄だもの。 (「若手プロパーへのメッセージ」より)
本書は、日本図書館協会選定図書です。
日本労働研究雑誌 2008年12月号「書評」欄(88頁)で紹介されました。
『早矢仕不二夫オーラルヒストリー』解題
第1章 戦後総同盟の様子と労働運動に入るきっかけ(昭和二十五年ころまで) 生いたちと軍隊生活 労働運動に入る 総同盟の左右対立 総同盟・全金同盟の再建
第2章 東京金属の結成とオルグ活動の日々(昭和二十五年から) 東京金属の結成 中小企業へのオルグ活動
第3章 労働運動と生産性運動(昭和三十年〜) 生産性運動とのかかわり 労 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
【著者】 早矢仕 不二夫(はやし ふじお) 1921年東京都生まれ、47年日本労働総同盟入局、54年東京金属労働組合主事、64年東京同盟副会長、71年全金同盟東京地方金属副執行委員長、75年東京同盟会長、79年全金同盟東京地方金属執行委員長、82年全金同盟を定年退職。
【編者】 梅崎 修(うめざき おさむ) 法政大学キャリアデザイン学部准教授 1995年神奈川大学経済学部経済学研究科卒業、97年大阪大学経済学研究科博士前期課程修了(経済学修士)、2000年大阪大学経済学研究科博士後期課程修了(経済学博士)、同年政策研究大学院大学オーラル政策研究プロジェクト研究員、2003年法政大学キャリアデザイン学部専任講師、2007年より現職。
島西 智輝(しまにし ともき) 立教大学経済学部経済政策学科助教 2000年慶應義塾大学商学部卒業、2002年慶應義塾大学大学院商学研究科前期博士課程修了(商学修士)、2003年慶應義塾大学経商連携21世紀COEプログラム研究員(非常勤)、2006年慶應義塾大学大学院商学研究科後期博士課程単位取得退学、同年立教大学経済学部経済政策学科助手、2007年より現職。
南雲 智映(なぐも ちあき) 慶應義塾大学産業研究所研究員・早稲田大学アジア太平洋研究センター(現商学学術院総合研究所)助手 2000年立教大学経済学部経済学科卒業、2002年慶應義塾大学大学院商学研究科前期博士課程修了(商学修士)、2005年慶應義塾大学大学院商学研究科後期博士課程単位取得退学、2005年慶應義塾大学産業研究所(有期)専任講師、2006年より現職。
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