人類学、比較文明論の専門である著者が、二十代の頃のフィールドワークを題材に「人間と植物が共生していくための新たな文明の尺度」を、本書を通して提起している。 人間と樹木(植物)の関係を、現代的な視点から捉えなおし、いま私たちの間に芽生えつつある「エコ」や「スロー」という言葉で表現されている新たな意識とはどのようなものなのか、どこへ向かっているのかを明らかにしていく。
『日経アーキテクチャ』 2023年12月28日号(no.1254)「編集部が選んだ10に聞く! イノベーターたちの「本棚」」(p.45)にて、齊藤太一氏(DAISHIZEN代表取締役社長)にご紹介いただきました。
序 「花見」の原風景
第一章 色彩の時間論
植物の時を聴く 薬草医学と占星術 宇宙を身にまとう 途上の色 病気を治す技術/治さない技術
第二章 宇宙的器官としての樹木
母なる樹 森の陰画 一本の樹に孕まれる多声 「遠」の観得、「縁」の論理 根源的な生命の場所
第三章 「工」の思想/森の思想
木の文化の歴史観 情報工学としての「木組み」 樹 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
竹村 真一(たけむら しんいち) 1959年生まれ。東京大学大学院文化人類学博士課程修了。現在、京都造形芸術大学教授。生命科学や地球学を踏まえた新たな「人間学」を構想するかたわら、独自の情報社会論を展開。ウェブ作品「センソリウム」や「触れる地球」、地域情報システム「どこでも博物館」など、自ら実験的なメディア・プロジェクトを数多く手がける。 主な著書に『呼吸するネットワーク』(岩波書店)、『22世紀のグランドデザイン』(慶應義塾大学出版会:編著)、『ひとのゆくえ』(求龍堂:編著)など。
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