〈癒し〉のナショナリズム
草の根保守運動の実証研究
|
「新しい歴史教科書をつくる会」とは何だったのか。 ―〈日本〉という居場所をもとめて「つくる会」につどう人々― 「新しい歴史教科書をつくる会」を一事例に、保守系ナショナリズム運動の草の根的活動を担う、自称〈普通の市民〉たちのメンタリティを実証的に分析。人々の心の闇のひろがりによる共同性の喪失を浮き彫りにし、現代日本のナショナリズムの行方を問う。


序文 小熊英二
第一章 「左」を忌避するポピュリズム 小熊英二 ―現代ナショナリズムの構造とゆらぎ
「下からのナショナリズム」運動/「価値観の揺らぎ」からの脱出/無定形から「保守」へ/天皇の位置/「保守の言葉」に回収される揺らぎ
第二章 「新しい公民教科書」を読む 小熊英二 ―その戦後批判を点検する
個人主義だけがエゴイズムか/「防衛義務」の安直な強調/「国体論」との類似/マルクス主義の市民観 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
小熊英二(おぐま・えいじ) 1962年生まれ。1987年東京大学農学部卒業。出版社勤務を経て、1998年東京大学教養学部総合文化研究科国際社会科学専攻大学院博士課程修了。現在、慶應義塾大学総合政策学部教員。
著書:『単一民族神話の起源』(新曜社、1995年)、『<日本人>の境界』(新曜社、1998年)、『インド日記』(新曜社、2000年)、『<民主>と<愛国>』(新曜社、2002年)、『ナショナリティの脱構築』(共著、柏書房、1996年)、『知のモラル』(共著、東京大学出版会、1996年)、『世紀転換期の国際秩序と国民文化の形成』(共著、柏書房、1999年)、『言語帝国主義とは何か』(共著、藤原書店、2000年)、『異文化理解の倫理にむけて』(共著、名古屋大学出版会、2000年)、『近代日本の他者像と自画像』(共著、柏書房、2001年)、『ネイションの軌跡』(共著、新世社、2001年)、A Genealogy of 'Japanese' Self-images(Trans Pacific Press, Melbourne, 2002)。
上野陽子(うえの・ようこ) 1978年生まれ。2002年慶應義塾大学総合政策学部卒業。 現在、金融機関勤務。
|