〈癒し〉のナショナリズム
草の根保守運動の実証研究

序文 小熊英二
第一章 「左」を忌避するポピュリズム 小熊英二 ―現代ナショナリズムの構造とゆらぎ
「下からのナショナリズム」運動/「価値観の揺らぎ」からの脱出/無定形から「保守」へ/天皇の位置/「保守の言葉」に回収される揺らぎ
第二章 「新しい公民教科書」を読む 小熊英二 ―その戦後批判を点検する
個人主義だけがエゴイズムか/「防衛義務」の安直な強調/「国体論」との類似/マルクス主義の市民観にも似ている/戦後思想への無理解/強烈な欧米コンプレックス
第三章 <普通>の市民たちによる「つくる会」のエスノグラフィー 上野陽子 ―新しい歴史教科書をつくる会神奈川県支部有志団体「史の会」をモデルに
序
問いの設定/先行研究の批判的検討/『歴史認識と授業改革』/『文化ナショナリズム の社会学』/研究対象・研究方法
1「史の会」のエスノグラフィー 「史の会」の風景/沿革/組織構成/運営方法 2「史の会」を支える三タイプの参加者たち I サイレント保守市民/インタビュー:サイレント保守市民/ II 市民運動推進派/インタビュー:市民運動推進派/ III 戦中派/インタビュー:戦中派/各タイプ間の温度差/ 新しい「保守」と昔ながらの「保守」/運動支持派と運動推進派/ 「つくる会」本部への批判(運動論・組織論)/「弱気な日本」を 嘆く声―「史の会」の最大公約数 3 <普通>の市民たちの限界 個人主義的な保守市民たち/教科書問題ブームのその後/普通の市民 たちによる草の根保守運動とは 資料編
第四章 不安なウヨクたちの「市民運動」 小熊英二
「市民運動」との類似性/参加者たちの思想傾向/「普通」の意味するところ/「史の会」の構成/今後の展望
あとがき 上野陽子
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