〇月経について科学的な解明に基づき徹底的に探求、誤解や偏見を解く。 〇西洋・白人女性を「ノーマル」とした概念を脱し、生理メカニズムの多様性を明らかにする。 〇男女ともに月経に向き合うために、社会に必要なことを問う。
「月経(ピリオド)」は、女性差別において長い歴史を持ち、男性中心の科学分野でも偏見にさらされてきた。人類学者である著者は、最新の医学研究やフィールドワークによってその多様性を検証し、家父長制と植民地主義的な価値観が、私たちの身体理解にどう影響を及ぼしてきたかを明らかにしつつ、月経の拓かれた未来のために大胆な展望を示す。

はじめに
序 章 なぜ今「月経の科学」が必要なのか
第1章 科学に潜む英雄神話
第2章 「標準的(ノーマル)」な月経周期は存在しない
第3章 エネルギーと月経――「女性の虚弱さ」という神話
第4章 免疫と月経――「月経の衛生」という神話
第5章 ストレスと月経
第6章 月経の未来――変動を受け入れる余地をもつ社会
おわりに
訳者あとがき
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
【著者】 ケイト・クランシー(Kate Clancy) イリノイ大学アーバナ゠シャンペーン校教授、人類学部副学部長。2001年 ハーバード大学卒業(自然人類学、女性学)、2007 年 イェール大学にて博士号(人類学)を取得。自然人類学者でありフェミニスト。米国内外で生殖に関する公平性・正義に焦点を当てた研究・教育・社会貢献活動を行う。本書は米国の主要な一般誌、学術誌で書評され、米国大学研究図書館協会卓越学術書賞、米国人類学会図書賞などを受賞。イタリア、トルコ、ロシア、中国などでの翻訳出版が決定している。
【訳者】 坪子理美(つぼこ・さとみ) 英日翻訳者。博士(理学)。訳書に『クジラの海をゆく探究者〈ハンター〉たち─『 白鯨』でひもとく海の自然史』『なぜ科学はストーリーを必要としているのか─ハリウッドに学んだ伝える技術』(以上、慶應義塾大学出版会)、『アレルギー─私たちの体は世界の激変についていけない』(東洋経済新報社)、『心臓とこころ─文化と科学が明かす「ハート」の歴史』(化学同人)、『悪魔の細菌─超多剤耐性菌から夫を救った科学者の戦い』(中央公論新社)など。
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