フェミニズムの問いに向き合う哲学
近年盛り上がりを見せる「分析フェミニズム」の重要な論文を紹介。 分析フェミニズムは、英米系の分析哲学と呼ばれる潮流のなかでフェミニズムに関わるさまざまな問いに取り組む分野である。たとえば、「女性」概念をどう定義すべきか、性的なモノ扱いとはどういうことか 、マイノリティの声はどのように封じられるのか、トランスジェンダーの人々を抑圧するレトリックの根底にあるものは何か、といった問いが分析哲学の手法を用いて論じられている。 本書では、形而上学、認識論、倫理学の主要なトピックから、代表的な論文8本を選定。いずれも海外のフェミニズム哲学の授業で頻繁に購読されている必読論文である。
『科学哲学』 56巻2号(2024年3月) に「書評」(p. 124-127)が掲載されました。評者は、西條玲奈氏です。 本文はこちら
『フィルカル』 Vol. 8 No.1(2023.4.30)「特集2 2022フィルカルリーディングズ」(p. 93)にてご紹介いただきました。選者は、八重樫徹氏(フッサールを中心とした初期現象学、ポルノグラフィーの倫理学、人生の意味の哲学など)です。
『図書新聞』 2023年4月1日(第3585号)(2面)に書評が掲載されました。評者は難波優輝氏(美学者・批評家・SF研究者)です。
◆Part I ジェンダーとは何か?
1 ジェンダーと人種――ジェンダーと人種とは何か? 私たちはそれらが何であってほしいのか?(サリー・ハスランガー、木下頌子訳)
2 改良して包摂する――ジェンダー・アイデンティティと女性という概念(キャスリン・ジェンキンズ、渡辺一暁訳)
◆Part II 性的モノ化
3 邪悪な詐欺師、それでいてものまね遊び――トランスフォビックな暴力、そして誤解の政治について(タリア・メイ・ベッチャー、渡辺一暁訳)
4 性的 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
【編訳者】 木下 頌子(きのした しょうこ) 明治大学文学部ほか非常勤講師。専門は言語哲学。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。論文に、「現実に立ち向かうための分析フェミニズム」(『現代思想 2020年3月臨時増刊号総特集=フェミニズムの現在』青土社、2020年)。翻訳に、メアリー・ミッジリー「獣性という概念――哲学、倫理学、動物の行動」(電子出版物、Notes from biscuit tin project, 2020年)。
渡辺 一暁(わたなべ かずあき) 会社員。専門はフェミニスト哲学。早稲田大学理工学部卒。論文に「文化的盗用――その限界、その分析の限界」(『フィルカル 3(2)』ミュー、2018年)、「自律性が損なわれるとき――分析的フェミニズムが提案する関係的アプローチ」(GID学会雑誌、9巻、2016年)。
飯塚 理恵(いいづか りえ) 日本学術振興会特別研究員PD(関西大学)。専門は認識論と倫理学。哲学博士(エジンバラ大学)。論文に、「エンハンスメントとしての美の実践」(『現代思想2021年11月号 特集=ルッキズムを考える』青土社、2021年)、「認識的不正義」(哲学の探求、49号、2022年)などがある。
小草 泰(おぐさ やすし) 高崎経済大学ほか非常勤講師。専門は知覚の哲学、心の哲学など。大阪市立大学大学院文学研究科後期博士課程修了。論文に、「知覚の志向説と選言説」(日本科学哲学会編『科学哲学』42-1号、2009年)、共訳書に、ラリー・ラウダン『科学と価値』(勁草書房、2009年)などがある。
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