『文明論之概略』も福沢諭吉が仕掛けた罠だった――
福沢諭吉は、多くの著作を著し、『時事新報』を創刊するなど、メディアの発信者として活躍した一方で、“いつ” “どのように” 発信するかに常に自覚的であった。本書は福沢諭吉をメディアそのものとして捉え、様々な矛盾が指摘されるその言説を、「交通」の最大化、「文明主義」の拡大と継続を目的とした、一貫した思想として読み解く。

序 章 福沢諭吉における「交通」――儒教主義から文明主義へ
第T部 福沢の「言説」と「行動」 第一章 福沢諭吉の思想と服装――「袴」と「着流し」の間 第二章 「我輩」と「福沢」の間――福沢諭吉における時事新報社説の認識 第三章 言葉で装う福沢諭吉――執筆名義に関する考察
第U部 福沢におけるメディアと国家 第四章 明治二十三年の抵抗――福沢諭吉と国会開設の年 第五章 義捐金と国家の任意性――災害から国民意識へ 第六章 「献金」と「醵金」の間―― ……
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都倉 武之(とくら たけゆき) 慶応義塾福沢研究センター教授。福沢諭吉記念慶応義塾史展示館副館長。 専門は近代日本政治史・思想史、メディア史。 1979年米国生まれ。2002年慶応義塾大学法学部政治学科卒業。2007年慶応義塾大学大学院法学研究科政治学専攻博士課程満期単位取得退学。2006年武蔵野学院大学国際コミュニケーション学部専任講師。2007年慶応義塾福沢研究センター専任講師。2011年慶応義塾福沢研究センター准教授。 著書に、『福沢諭吉の思想と近代化構想』(共著、慶応義塾大学出版会、2008年)、『近代日本と福沢諭吉』(共著、慶応義塾大学出版会、2013年)、『アジア的空間の近代』(共著、慶応義塾大学出版会、2020年)など。
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