宮本常一は敗北したのか ポスト高度経済成長期の日本において、疲弊する離島の人びとに寄り添い、 彼らの自立を促すために奔走した宮本常一の思想や行動は 完全なる敗北だったのか。 たんなる民俗学者ではなく、地方の代弁者として活動した宮本常一の思想の核心に迫る。
柳田国男、南方熊楠、折口信夫と並ぶ民俗学界のビッグネーム――宮本常一。 本書では、斯界の巨人としてではなく、 当時広がっていた地域文化運動を構成する一個人としての宮本に着目し、 行政と地域住民とのあいだを取り持ち、運動を自律的なものへと導こうとした、 メディエーターとしての宮本常一に焦点をあて、 地方の代弁者として活動した宮本常一の思想の核心に迫る。


『図書新聞』 2024年1月20日(第3623号)(3面)に書評が掲載されました。評者は、川村博司氏(神戸女子大学文学部教授)です。
『図書新聞』 2023年12月23日(第3620号)(3面)「23年下半期読書アンケート」にて、石原俊氏(歴史社会学・島嶼社会論)の印象に残った3点に選んでいただきました。
『週刊読書人』 2023年12月15日号(第3519号)アンケート特集「2023年の収穫」(4面)にて、重信幸彦氏(民俗学)の印象に残った3点に選んでいただきました。

序 章 島の遅れと文化運動 1 はじめに 2 発展史観と離島 3 方法と視点 4 文化運動と「抵抗」の民俗学 5 本書の構成
第1章 島をめぐるまなざし——学術・観光・地元 1 島を出ること、残ること 2 島へのまなざし 3 地元を生きる自己 4 残る側の視点から
第2章 民俗学と「文化工作」のあいだ——宮本常一イントロダクション 1 はじめに 2 実践家としての来歴 3 佐渡の宮本常一 4 宮本常一研究の現状 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
門田岳久(かどた たけひさ) 立教大学観光学部交流文化学科准教授。 1978年愛媛県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻文化人類学コース博士課程満期退学。博士(学術)。日本学術振興会特別研究員、立教大学助教を経て、2015年より現職。専門は文化人類学、民俗学。 著書に、『巡礼ツーリズムの民族誌――消費される宗教経験』(森話社、2013年、日本宗教学会賞受賞)、共編著に、『民俗学の思考法――〈いま・ここ〉の日常と文化を捉える』(慶應義塾大学出版会、2021年)、『〈人〉に向きあう民俗学(叢書・〈知〉の森)』(森話社、2014年)、ほか共著多数。 researchmap.jp/kadota
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