宮本常一 〈抵抗〉の民俗学
地方からの叛逆

序 章 島の遅れと文化運動 1 はじめに 2 発展史観と離島 3 方法と視点 4 文化運動と「抵抗」の民俗学 5 本書の構成
第1章 島をめぐるまなざし——学術・観光・地元 1 島を出ること、残ること 2 島へのまなざし 3 地元を生きる自己 4 残る側の視点から
第2章 民俗学と「文化工作」のあいだ——宮本常一イントロダクション 1 はじめに 2 実践家としての来歴 3 佐渡の宮本常一 4 宮本常一研究の現状 5 地域への「介入」
第3章 「離島性」の克服——地域開発をめぐる宮本常一の思想的変遷 1 国土開発の民俗学へ 2 道路建設と資本主義 3 島の自立と観光批判 4 実践性をめぐる評価 5 関係性の美学と文化運動の閉塞
第4章 速度と身体性——フィールドワークの移動手段と見える世界の拡張 1 オートモビリティと現実の拡張 2 旅と移動身体 3 速度の人類学 4 宮本常一の身体性 5 速度とパノラマ的眺望 6 徒歩と輸送
第5章 博物館と住民参加――「佐渡國小木民俗博物館」にみるローカルな文化運動 1 近代化から内発的発展へ 2 運動拠点としての学校 3 小木民俗博物館 4 宮本常一の博物館指導 5 運動における「主体性」
第6章 鬼太鼓座と幻の大学構想——日本海からの叛逆 1 「地方に大学を作る」 2 鬼太鼓座と「大学」構想 3 日本海大学講座 4 島からのリアクション 5 拠点主義と若衆宿 6 都市のまなざしの壁 7 社会開発論と大学構想 8 抵抗の時代性
第7章 自前の生活——佐渡空港建設をめぐるデモ・水・自己決定 1 借り物の思想と自前の思想 2 政治の季節と民俗学 3 佐渡新空港建設反対運動 4 なぜ住民は反対をしたのか 5 運動が終わるとき
第8章 三里塚から佐渡へ——ある運動家における民俗学的実践と〈父〉 1 島を離れて 2 三里塚にて 3 佐渡で生きる 4 社会運動と民俗学 5 生きるための民俗学
第9章 モノを介したソーシャルデザイン——美大教員としての宮本常一と民家調査 1 産業調査とエスノグラフィ 2 ランドスケープと町並み保存 3 モノを介した地域調査 4 エンパワーメントとしての調査 5 工学的発想と文化運動 6 民俗学の文化財学化
結 論 1 それぞれの近代 2 英雄史観を越えて 3 ヘゲモニーとの距離 4 宮本常一の「敗北」、および抵抗の民俗学のゆくえ
註 あとがき 参考文献 索引
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