大正デモクラットの精神史
東アジアにおける「知識人」の誕生
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▼大正デモクラシー期に活躍した日本の知識人=大正デモクラットたちの、中国を中心とした東アジアにおける思想的交流を丹念に描く。 ▼戦後、いわゆる「オールド・リベラリスト」というレッテルを貼られることになった彼らが、戦後民主主義にはたした役割を再検討する。
1910年代後半、東アジアにおいて「知識人」という社会集団が輪郭をあらわすようになる。本書では吉野作造を中心とする学術団体「黎明会」の面々や、河上肇、朝河貫一ら大正デモクラットが、ナショナリズムに目覚めはじめた中国知識人たちとどのような思想的交流を展開したのか、そして小泉信三、高橋誠一郎といった「オールド・リベラリスト」たちが、どのような「理想」をもって戦後改革に参与したのかを生き生きと描き出す。

東京人 2021年1月号(p.134〜p.135)「Close Up TOKYO Books」で本書が紹介されました。紹介者は苅部直氏(政治学者、日本政治思想史)です。
『日本思想史学』 52号、日本思想史学会、2020年9月(p.194〜p.198)に書評が掲載されました。評者は織田健志氏(国士舘大学准教授)です。
図書新聞 第3452号(2020年6月20日)2面に、書評が掲載されました。評者は福家崇洋氏(京都大学人文科学研究所准教授)です。

序 論 「知識人」としての大正デモクラット/「インテリゲンチャ」の受容と普及/ドレフュス事件と「知 識人」/大逆事件と「知識人」の不在/黎明会と「知識人」の誕生/黎明会と「知識人」界/ 黎明会と朝鮮「知識人」/黎明会と中国「知識人」/本書の目的
第一部 大正デモクラットと中国
第一章 吉野作造と中国知識人――キリスト教をめぐる「連帯」と「離反」 「大正デモクラシー」の旗手・吉野作造/拠点としてのYMCA /新人会と少年中国学会/ 「宗教」と「科学」/吉野作造の ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
武藤 秀太郎(むとう しゅうたろう) 新潟大学経済学部准教授。 早稲田大学政治経済学部卒業。総合研究大学院大学文化科学研究科博士課程修了。学術博士。専門は社会思想史。著書に『「抗日」中国の起源――五四運動と日本』(筑摩選書、2019年)、『近代日本の社会科学と東アジア』(藤原書店、2009年)、編著に『福田徳三著作集』第15・16巻(信山社)など。
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