近現代に結実する、豊穣なる中世
―― 中世とは真に暗黒の時代だったのか。 「ローマ」「キリスト教」「世俗権」「都市」「国民」「科学」など、ヨーロッパの基底となるキーワードから読み解く。
▼ヨーロッパ史を学び直したい人のために。
中世ヨーロッパは確かに暗黒の時代であった。しかし、近代において飛躍するヨーロッパを育んだ豊かな苗床の時代であったともいえる。 「ローマ」「キリスト教」「世俗権(王権・帝権)「都市」「国民」「科学」などのキーワードから中世ヨーロッパ史を読み解き、近代の「人間」の時代へと誘う。
▼中世を読み解くための6つのキーワード
【ローマ】中世人は模範として仰ぎ見た。政治的にも文化的にも深い刻印を残したが、中世は古代ローマの繁栄を1000年以上も超えられなかった。 【キリスト教】中世人の心を絶対的な規範として律した。人々はそのメッセージを遵守し、理想に殉じたが、時に軽んじ、自らの利益を優先した。 【世俗権】君主個人の能力やカリスマに基づいたが、教会との闘争を経て宗教性を減じ、官僚制と軍を備えた近代国家へと脱皮した。 【都市】西欧の復活にともない、社会全体の成長のエンジンとなった。生活を向上させるだけでなく、新興階層を出現させ、新しい文化を生み出した。 【国民】帝国でもなく宗教でもない、ヨーロッパが生み出した新しい統合の絆である。現在に至るまで世界を支配している。 【科学】近現代におけるヨーロッパの繁栄の源泉となった。技術を手がかりに、理論を実験や観測と結びつけ、新しい合理的な世界観を生み出した。 ・・・そして【人間】へ・・・
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イントロダクション 1 時代区分 2 自然条件
第1章 大いなるローマ 1 ローマの遺産 2 キリスト教の成立 3 後期ローマ帝国 4 荒れ野に生きる人々
第2章 古代世界の終焉とゲルマン人 1 侵入 2 帝国の衰退 3 統合の模索 4 ガリア 5 海の彼方 6 文化の継承
第3章 フランク王国 1 メロヴィング朝 2 カロリング家の台頭 3 カール大帝 4 ……
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神崎忠昭(かんざき ただあき) 略 歴:1957年生まれ。1989年3月慶應義塾大学大学院博士課程単位取得満期退学。慶應義塾大学文学部教授。 専 攻:ヨーロッパ中世史。 主要著作:『地中海世界の旅人 ―― 移動と記述の中近世史』(共著、慶應義塾大学出版会、2014年)、ジャン・ルクレール『修道院文化入門 ―― 学問への愛と神への希求』(共訳、知泉書館、2004年)、「ヴェッティヌスの幻視 Visio Wettiniについて」『慶應義塾大学言語文化研究所紀要』26、1994年等。
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