神の、キリストの、人間の〈感情〉は、何を教えてくれるか?
愛と憎しみ、喜びと悲しみ――。〈感情〉の微視的な分析をとおし 存在するもの全てへの肯定と讃美を読み解く
人間論として『神学大全』を読み解く
「トマス人間論」から学ぶ、生の技法。
キリスト教の教義に基づいた抽象的概念を駆使する難解な神学者として解されてきた、中世最大の思想家トマス・アクィナス。 本書では、そのような神学的枠組みを超え、トマスがありふれた日常的な経験である〈感情〉を微視的に分析し、独自の〈人間論〉を構築していることを明らかにする。トマス哲学に通奏低音のように鳴り響く、存在するもの全体への肯定と讃美の旋律を描き出し、この世界を肯定的に受けとめ、生き抜く実践的な生の技法を説く書物として、最大の主著『神学大全』を読みなおす、意欲的な一冊。


毎日新聞 2014年12月21日「2014 この3冊」 にて松原隆一郎氏(東京大学教授)にご選出いただきました。
週刊読書人 第3070号(2014年12月19日) 「2014年回顧 動向収穫」(第3面) <哲学>(選者:貫成人(専修大学教授)氏)にて、紹介されました。
京都新聞 2014年12月7日(3面)の瀬戸内寂聴氏による 「天眼 トマス・アクィナスとの縁」にて、紹介されました。

まえがき
序
第一部 肯定の哲学の展開 第一章 肯定的な感情の優位―― 愛、欲望、喜び 一 感情の区別のための補助線 二 喜びと悲しみ 三 愛と憎しみ 四 欲望と忌避
第二章 困難に対する直面と克服 一 気概的な感情の全体像 二 希望と絶望 三 怖れと大胆 四 怒り
第三章 肯定的な生への促しとしての倫理学 一 徳としての勇気―― 世界と自己との肯定的関係の形成 二 『神学大全』におけ ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
山本 芳久(Yamamoto Yoshihisa) 東京大学大学院総合文化研究科准教授。 1973年生まれ。東京大学文学部卒業。同大学院人文社会系研究科(哲学専門分野)博士課程修了。千葉大学文学部准教授、アメリカ・カトリック大学客員研究員を経て、現職。専攻は、哲学・倫理学(西洋中世哲学・イスラーム哲学)。博士(文学)(東京大学)。代表作に『トマス・アクィナスにおける人格の存在論』(知泉書館、2013年)、「イスラーム哲学 ―― ラテン・キリスト教世界との交錯」(『西洋哲学史Ⅱ』所収、講談社、2011年)など。
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