キリスト教哲学入門
聖トマス・アクィナスをめぐって
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神なしには何も存在しない。そしてまた、何ものも神ではない。
中世哲学の大家が語る神の存在と信仰の哲学 ▼本書は、エティエンヌ・ジルソンが、聖トマスの思想をてがかりにしながら存在について語った晩年のエッセイである。神の存在を哲学的手法で証明し、かつ信仰のなかで哲学をすることの意義を「キリスト教哲学」の名のもとで主張する。
▼ジルソンは、「神はあるか」という根源的な問いを投げかける。直観の光に照らされた思考の道筋で明らかにされるのは、神の「存在」ではなく、「神は存在そのものである」という真理である。したがって、われわれ人間やそれ以外の創造物すべては、存在者として、本質と存在のはたらきによって現実存在している。 聖トマスの思想に向かって存在の無限の海を泳いでゆく、啓示にみちた一冊。

序 文
第一章 信仰のなかの哲学
第二章 存在の原因
第三章 ありてある者
第四章 本質を超えて
第五章 存在論を超えて
第六章 根本的真理
第七章 中心問題
第八章 因果性と分有
第九章 存在と本質
第十章 存在、現実態、目的
訳者解説(山内志朗) 文献表
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
【著者】 エティエンヌ・ジルソン(Étienne Gilson) 1884年生まれ。中世哲学研究者。リール、ストラスブールの大学で教鞭をとった後、パリ大学で中世哲学史を教える。コレージュ・ド・フランスの中世哲学史教授、カナダのトロント大学中世思想研究所の所長を歴任。著書に、『中世哲学史』、『中世哲学の精神』、『存在と本質』など多数。1978年没。
【監訳者】 山内志朗(Shiro Yamauchi) 1957年生まれ。慶應義塾大学文学部教授。東京大学大学院博士課程単位取得退学。新潟大学人文学部教授を経て現在に至る。著書に、『普遍論争――近代の源泉としての』(平凡社ライブラリー)、『天使の記号学』(岩波書店)、『「誤読」の哲学――ドゥルーズ、フーコーから中世哲学へ』(青土社)など多数。
【訳者】 松本鉄平(Teppei Matsumoto) 1987年生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科仏文学専攻前期博士課程修了。同大学院後期博士課程、フランス・ボルドー第三大学博士課程在籍中。修士論文は『エティエンヌ・ジルソンにおける普遍性の問題とキリスト教実存主義』。
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