アジア太平洋戦争で大学はどんな役割を担ったか。 「学徒出陣」を見送った大学の戦後を追う。
▼慶應義塾関係戦没者名簿をほぼ独力でまとめた著者が、その際の共同研究にともなって研究・発言を続けてきた、戦時下における大学、および大学と戦没者追悼の問題に関する論考集。 ▼戦後の社会状況の中で調査・研究が進んでこなかったこれらの問題について、従来の歴史研究に新たな一石を投じ、これからの世代の指針にしたいという著者の強い思いがこめられた1冊。

神奈川新聞 2012年12月9日付でご紹介いただきました。

序
第一章 戦没者追悼の諸問題 追悼とは 国家による追悼 誰を追悼するのか 追悼の方法 先の大戦におけ る戦没者追悼の特殊性(a 戦没者は多数、戦没地域は広大 b 六割は餓死 c 一〇倍近い現地人の死 d 多様な戦没者 e 多様な追悼者) 戦没者追悼の理 論(靖国型、礎論、反省型) 追悼に対する反対意見
第二章 諸大学における戦没者追悼と戦時大学史 外国の大学では なぜ日本の大学では追悼行事が少ないか 大学(学長や大学の 機関など)による追 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
白井 厚(しらい あつし) 慶應義塾大学名誉教授。経済学博士(1967 慶大)。 主な著書に、『ウィリアム・ゴドウィン研究』(未來社、1964)、『女性解放論集』(白井堯子と共著、慶應義塾大学出版会、1982)、『社会思想史断章』(日本経済評論社、1989)、『協同組合論集』(慶應義塾大学出版会、1991)、『オクスフォードから』(白井堯子と共著、日本経済評論社、1995)、『いま特攻隊の死を考える』(岩波ブックレット572)(編著、岩波書店、2002)、『日吉・帝国海軍大地下壕』(監修、平和文化、2006)など。白井ゼミナールの共同研究による著作5点については本書「序」参照。 主な訳書に、G.ウドコック『アナキズム』 I・II (紀伊國屋書店、1968)、W.ゴドウィン『政治的正義(財産論)』(陽樹社、1973)、R.オウエン「社会にかんする新見解」『世界の名著 続8 オウエン サン・シモン フーリエ』(中央公論社、1975)など。
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