ブラウン判決の遺産
アメリカ公民権運動と教育制度の歴史
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アフリカ系アメリカ人、苦難の歴史 ▼アメリカ公民権運動の歴史に一つの画期をなし、アメリカ憲法史上、最も重要な合衆国最高裁判決の一つとして知られる、1954年の「ブラウン対トピーカ教育委員会事件判決」(通称、「ブラウン判決」)――アメリカの公立学校における州当局お墨付きの人種隔離政策を憲法違反とした歴史的判決――がアメリカ社会に与えた正負両面の影響を詳述する、アフリカ系アメリカ人史Brown v. Board of Education: A Civil Rights Milestone and Its Troubled Legacy, Oxford University Press, 2001の翻訳。 ▼公共施設等から黒人を隔離するジム・クロウ制度、人種別学制度や、黒人差別の過酷さ、黒人学校の劣悪さ、全米黒人地位向上協会の法廷闘争等を詳述。 90年代(クリントン大統領)までの公民権運動史、アフリカ系アメリカ人史、最高裁判事の教育制度史の教科書として使いやすい。2000年代の状況については、訳者が巻末でフォローしている。 ▼当時の状況を伝える写真や図版(黒人差別・暴行の実態、公民権運動に携わった当事者、公民権法署名シーン等の写真、風刺漫画)も多数掲載。巻末の統計資料も充実。
図書新聞 2010年6月5日号(第2968号)(5面)で紹介されました。
序 章 人種差別に異議を唱える
第1章 ブラウン判決以前の人種と学校制度
第2章 草の根運動を支えた弁護士たちの奮闘
第3章 最高裁がブラウン判決を下したとき
第4章 人種関係の岐路 1954-55年
第5章 南部白人の逆襲
第6章 1960年代の人種的バランスの模索
第7章 バーガー・コートの奇襲
第8章 人種関係の膠着
第9章 人種隔離の復活か?
第10章 遺産と教訓
訳者あとがき 参考文献 註 参考資料I 参考資料I ……
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【著者】 ジェイムズ・T・パターソン James T. Patterson ブラウン大学名誉教授(歴史学) 1935年コネティカット州ブリッジポート生まれ。1964年ハーヴァード大学から博士号(歴史学)を取得。 研究領域:医学、人種関係、教育制度、貧困問題、政治、外交 主要著作には、America in the Twentieth Century (5th ed., 2000) The Dread Disease: Cancer and Modern American Culture (1987) Grand Expectations: The United States, 1945-1974 (1996) バンクロフト賞受賞 America's Struggle Against Poverty in the Twentieth Century (2000) Restless Giant: The United States from Watergate to 9/11 (2005) 等がある。
【訳者】 籾岡宏成(もみおか ひろなり) 北海道教育大学旭川校准教授 1969年鳥取県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒、中央大学大学院法学研究科博士課程修了(法学博士)。 日本公法学会・日米法学会・比較法学会所属。 主要論文に、「アメリカにおける懲罰的損害賠償の現代的機能と課題(博士論文)」、「少数者の人権保護に関する意識と裁判所の機能――「二風谷ダム判決」および「アイヌ文化振興法」をめぐるアンケート調査の統計的分析からの示唆」(法学新報、2007年)等がある。
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