連合王国と女王ヴィクトリアの世紀
19世紀、世界的覇権を誇るイギリス帝国最盛期。 本書第9巻では、イギリス帝国の経験と複雑さについて、学際的なアプローチからの記述を試みる。 ナポレオン戦争終結の1815年から、女王ヴィクトリアが死去する1901年を対象に、世界初の工業国家として急速な経済発展と近代化を経験する連合王国諸地域の複雑に重なりあった政治・経済、社会生活・公領域の変容、宗教と知、科学の相互作用、ヴィクトリア朝の芸術、建築、都市といった多元的なテーマを細密に描く、ヴィクトリア朝ならびにイギリス帝国史。
出版ニュース 2009年7月下旬号「情報区」(12頁)で紹介されました。
日本語版に寄せて(ポール・ラングフォード) 監修者序文(ポール・ラングフォード) 日本語版監修者序文(鶴島博和) 凡例 図版一覧
序 論 連合王国とヴィクトリアの世紀 一八一五〜一九〇一年 コリン・マシュー 世界史におけるイギリスの時代――進歩と警告 「最初の」工業国家――労働と規律 商品と所有 一八五一年――均衡(バランス)の達成 自由貿易・文明・協調 英国国教会・教区・福祉 帝都ロンドン? 連合王国―― ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
[監修者] コリン・マシュー(Colin Matthew) オックスフォード大学近代史学教授。1999年逝去。 主要業績 Gladstone 1809-1898 (Oxford, 1997); The Gladstone Diaries (ed., 14 vols., Oxford, 1968-1994); The Oxford Dictionary of National Biography (founding editor, Oxford, 2006).
[著者] マーティン・ドーントン(Martin Daunton) ケンブリッジ大学トリニティ・ホール学寮長 主要業績 Progress and Poverty: An Economic and Social History of Britain 1700-1850 (Oxford, 1995); Just Taxes: The Politics of Taxation in Britain, 1914-1979 (Cambridge, 2002); Trusting Leviathan: The Politics of Taxation in Britain, 1799-1914 (Cambridge, 2007).
アンドリュー・ポーター(Andrew Porter) ロンドン大学キングズ・カレッジ帝国史講座教授 主要業績 The Oxford History of the British Empire, Vol. III : The Nineteenth Century (Oxford, 1999); Religion versus Empire ? British Protestant missionaries and overseas expansion 1700-1914 (Manchester, 2004).
ジャネット・ハワース(Janet Howarth) オックスフォード大学セント・ヒルダズ・カレッジ・フェロー 主要業績 Women in Britain since 1914 : A Documentary History (London, forthcoming); ‘The Church of England and women's higher education’ in P.Gosh & L.Goldman, eds., Politics, Intellect and Belief in Nineteenth-Century Britain (Oxford, 2005).
ジェーン・ガーネット(Jane Garnett) オックスフォード大学ウォーダム・カレッジ・フェロー 主要業績 Revival and Religion 1700 (H.C.G.Matthewとの共編、London, 1993); Redefining Christian Britain: Post 1945 Perspective (London, 2007).
ケイト・フリント(Kate Flint) ニュージャージー州立ラトガース大学ニューブランズウィック校教授 主要業績 The Woman Reader, 1837-1914 (Oxford, 1993); The Victorians and the Visual Imagination (Cambridge, 2000); The Transatlantic Indian 1776-1930 (Princeton, 2009).
アンドリュー・セイント(Andrew Saint) ケンブリッジ大学建築学教授 主要業績 Richard Norman Shaw(New Haven, 1977); The Image of the Architect(New Haven, 1983); Architect and Engineer : A Study in Sibling Rivalry(New Haven, 2008).
[訳者一覧] 君塚直隆(きみづか なおたか) [序論・第二章・結論担当] 神奈川県立外語短期大学教授 主要業績 『イギリス二大政党制への道』(有斐閣、1998年)、『パクス・ブリタニカのイギリス外交』(有斐閣、2006年)、『女王陛下の影法師』(筑摩書房、2007年)、『ヴィクトリア女王』(中公新書、2007年)。
松永友有(まつなが ともあり) [第一章担当] 横浜国立大学大学院国際社会科学研究所准教授 主要業績『世紀転換期のイギリス帝国』(共著、ミネルヴァ書房、2004年)、「イギリス自由党の経済政策再評価」『社会経済史学』65-5(2000年)、「第二次マクドナルド労働党内閣の恐慌対策と労働組合会議」『西洋史学』208(2002年)、「イギリス失業保険制度の起源」『史学雑誌』115-7(2006年)。
前川一郎(まえかわ いちろう) [第三章担当] 創価大学文学部准教授 主要業績『イギリス帝国とアフリカ――南アフリカ連邦の形成1899〜1912』(ミネルヴァ書房、2006年)、「学界展望 イギリス帝国史研究の挑戦――近代帝国とグローバルヒストリー」『西洋史学』220(2006年)、『「植民地責任」論――脱植民地化の比較史』(共著、青木書店、2009年)、「イギリス植民地主義のあとさき――2001年ダーバン会議の教訓」『季刊戦争責任研究』63(2009年)。
酒井順子(さかい じゅんこ) [第四章担当] フェリス女学院大学文学部文学科他非常勤講師 主要業績 Japanese Bankers in the City of London: Language, Culture and Identity in the Japanese Diaspora (Routledge, 2000)、「女性史からジェンダー史へ――方法論と史料の多様化」『イギリス近現代女性史研究入門』(共著、青木書店、2006年)、「『女性選挙権協会全国連合』とイギリス労働党の選挙協力――自由党の衰退と労働党の勃興を背景に」『史苑』53-2(1993年)、ポール・トンプソン『記憶から歴史へ』(単独訳、青木書店、2002年)。
馬渕 彰(まぶち あきら) [第五章担当] 日本大学法学部准教授 主要業績「十九世紀後半における農業労働者の組合活動と教会――国内・国外移住政策とメソディスト派の関係を中心に『キリスト教史学』62(2008年)、「アレヴィ・テーゼ再訪――E. P. トムスン」『イングランド労働者階級の形成』以降の論争を中心に」『ウェスレー・メソジスト研究 6』(教文館、2006年)、「19世紀後半のイギリス農業労働者の組合運動とメソディズム――教区権問題を中心に」『キリスト教史学』56(2002年)。
橋本順光(はしもと よりみつ) [第六章担当] 大阪大学文学部准教授 主要業績「茶屋の天使――英国世紀末のオペレッタ『ゲイシャ』(1896)とその歴史的文脈」『ジャポニスム研究』23(2003年)、「英国における大英帝国史の再編成と新帝国主義論の流行――ニール・ファーガスンの『帝国』を中心に」『英米文化』34(2004年)、『世紀転換期のイギリス帝国』(共著、ミネルヴァ書房、2004年)、「The Decline and Fall of the British Empire (1906)その抄訳『英国衰亡論』(1906)の復刻及び解題」『横浜国立大学教育人間科学部紀要U(人文科学)』7(2005年)。
菅 靖子(すが やすこ) [第七章担当] 津田塾大学学芸学部准教授 主要業績『イギリスの社会とデザイン』(彩流社、2006年)、『モダニズムとデザイン戦略――イギリスの広報政策』(ブリュッケ、2008年)、The Diary of Charles Holme’s 1899 visit to Japan and North America (共編著、Global Oriental, 2008)、Buying for the Home: shopping for the domestic from the seventeenth Century to the present (共著、Ashgate, 2008)。
|