ケースで学ぶ 戦後日本の人事労務・人的資源管理の歴史
高度成長期の組合対応、自動車セールスマンの業績管理、80年代の女性の社会進出、学歴不問のオープンエントリー制、グローバル化にともなう海外進出、M&A、そして現代のイノベーターたち・・・。 各時代のホット・イシューを取り上げながら、人材戦略の変遷を一望する。
しかし、それらが依然として今日的課題であることに驚かざるを得ない。
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ケース・メソッドの授業とオーケストラ
1.ケースとは、何ではないか ケースは学術論文ではない。経営の模範を示すものでもない。作り物でもない。ケースは実際に起こった経営問題を記述したものであり、そのなかに興味をそそる問題が含まれ、問題解決のために必要な情報が記述されており、読み手は意思決定を迫られる。現実の経営でも情報は不完全なものだから、意思決定者は自分の価値観や経験にもとづいて仮定を立てて分析し、意思決定を行い、各自相異なる意見をぶつけ合う。
2.ケースによる学習のプロセス 個人研究、グループ討議、クラス討論というステップを踏むのが通例だが、それは音楽のソロ、室内楽、オーケストラに喩えられる。まず個人研究には少なくとも2〜3時間をかけてケースをじっくり読む。ベテランの場合、グループ討議を省略することもあるが、仲間だけで互いに和音や不協和音を楽しめる時だ。クラス討議となって、初めてケース・リーダーが登場するが、音を奏でる主役は各奏者であって、指揮者は各奏者の音の絡み合いに耳を傾けながら奏者=聴衆の相乗効果を促すように働きかけ、新たな知見に導く。
3.ティーチング・ノートの利用 このケース・ブックに収めた各ケースには「ティーチング・ノート」が付いており、読者は有料でWeb Siteからダウンロードできる。ただし、そこにケースの「正解」が書いてあるわけではなく、そのケースの教育上の狙いと討論の過程で外してはならない主要な論点、ケース討論から引き出せる含意などが記述されている。つまり、読み手はそこからケース全体の楽想と指揮上のポイントを把握することができるわけである。
序章 日本型HRMの持続と変化
第1章 高度経済成長期の組織・人材マネジメント CASE 1 山川興産株式会社 CASE 2 松下電器産業株式会社――事業部制 CASE 3 東亜自動車株式会社
第2章 人材戦略の新しい潮流 CASE 4 モービル石油株式会社――キャリア・ディベロップメント・プログラム CASE 5 スルガ銀行――女性支店長誕生 CASE 6 ソニー株式会社――採用・人材育成戦略
第3章 グローバル化時代の経営戦略< ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
石田英夫(いしだ ひでお) 東北公益文科大学大学院教授・慶應義塾大学名誉教授・英国国立ウェールズ大学大学院経営学修士号(MBA)プログラム教授 1957年慶應義塾大学経済学部卒業、60年同大学院経済学研究科修士課程修了、63年博士課程修了、64年ハーバード大学ビジネススクールInternational Teachers Programを修了。1961年慶應ビジネススクール助手、68年助教授、76年教授(78年大学院経営管理研究科教授)。81〜85年同研究科委員長。2004年中村学園大学流通科学部、2007年より現職。経済学博士。 〔主要業績〕 『ケース・ブック T』『ケース・ブックU』共編著、KUP、2007年 『MBA人材マネジメント』共著、中央経済社、2002年 『研究開発人材のマネジメント』編著、KUP、2002年 『国際経営とホワイトカラー』中央経済社、1999年 『ケースブック 新版 国際経営の人間問題』KUP、1992年 『変貌する金融機関と人材』共著、東洋経済新報社、1991年 『日本企業の国際人事管理』日本労働研究機構、1985年、第9回労働関係図書優秀賞受賞 他
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