ヨーロッパにおける政治思想史と精神史の交叉
過去を省み、未来へ進む
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ヨーロッパ政治思想を精神史の潮流と関連づけて研究。 ▼ヨーロッパ思想が日本を含む様々な国や地域でいかに受容され、変容してきたか、またそれは今日いかなる課題を提起するか。 ▼ギリシャ哲学、キリスト教神学、人文主義、民主主義など多様な視点からの論文を収録。ギリシア哲学とキリスト教を軸とするヨーロッパ精神史の流れを強く意識しつつ、政治思想史研究の現代的意義を問う。
はじめに
第一章 人間とは何か ――ギリシア哲学から政治へ半歩 山本巍 第二章 グノーシスと政治 ――マニ教を中心に 大貫隆 第三章 プロティノスにおけるコスモスと人間についての存在論的考察 ――『エンネアデス』W3―4〔27―28〕(『魂の諸問題について』)を素材として 藤田潤一郎 第四章 ウィリアム・オッカムと中世ヨーロッパにおける異端の概念 将基面貴巳 第五章 ドイツ宗教改革の精神史的位置づけにおける人文主義の意義 ……
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執筆者紹介(*は編者。以下、掲載順)
鷲見 誠一(すみ せいいち)* 慶應義塾大学名誉教授。 慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程修了。 主要業績に、『ヨーロッパ文化の原型』(南窓社、1996年)、『近代国家の再検討』(共編、慶應義塾大学出版会、1998年)、『転換期の政治思想――20世紀からの問い』(編著、創文社、2002年)など。
千葉 眞(ちば しん)* 国際基督教大学教養学部教授。 プリンストン神学大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。 主要業績に、『現代プロテスタンティズムの政治思想』(新教出版社、1988年)、『ラディカル・デモクラシーの地平』(新評論、1995年)、『アーレントと現代』(岩波書店、1996年)、『デモクラシー』(岩波書店、2001年)、『平和運動と平和主義の現在』(編著、風行社、2008年)など。
山本 巍(やまもと たかし) 東京大学大学院総合文化研究科教授。 主要業績に、『ロゴスと深淵――ギリシア哲学探究』(東京大学出版会、2000年)、『受難の意味――アブラハム・イエス・パウロ』(共著、東京大学出版会、2006年)、「われわれに言語を語らせるものは何か――ヘラクレイトスの場合」『ギリシャ哲学セミナー論集』第5号(2008年)など。
大貫 隆(おおぬき たかし) 東京大学大学院総合文化研究科教授。 主要業績に、『イエスという経験』(岩波書店、2003年)、Heil und Erlösung: Studien zum Neuen Testament und zur Gnosis(Tübingen, 2004)、Jesus: Geschichte und Gegenwart (Neukirchen-Vulyn, 2006)など。
藤田 潤一郎(ふじた じゅんいちろう) 関東学院大学法学部教授。 京都大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。博士(法学)。 主要業績に、『政治と倫理――共同性を巡るヘブライとギリシアからの問い』(創文社、2004年)、「近世以降の思惟様式における存在者――プロテスタンティズムを手がかりに」『中世思想研究』第48号(2006年)、「ヨーロッパ思想史における『平和』の位相」『創造する〈平和〉――共同性への模索と試み』(関東学院大学出版会、2008年)など。
将基面 貴巳(しょうぎめん たかし) オタゴ大学人文学部歴史学科上級講師。 シェフィールド大学歴史学博士課程修了(Ph.D)。 主要業績に、Ockham and Political Discourse in the Late Middle Ages(Cambridge University Press, 2007)、Western Political Thought in Dialogue with Asia (co-ed., Lexington Books / Roman and Littlefield, 2008)、『政治診断学への招待』(講談社選書メチエ、2006年)、『反「暴君」の思想史』(平凡社新書、2002年)など。
木部 尚志(きべ たかし) 国際基督教大学教養学部上級准教授。 テュービンゲン大学博士課程修了(Dr.rer.soc.)。 主要業績に、「自由」『政治概念の歴史的展開』(晃洋書房、2004年)、“Differentiated Citizenship and Ethnocultural Groups: A Japanese Case,” Citizenship Studies, vol.10, 2006、「ドイツにおける移民統合政策と多文化主義――再分配と承認の相克」『平和のグランドセオリー序説』(風行社、2007年)など。
田上 雅徳(たのうえ まさなる) 慶應義塾大学法学部准教授。 慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。博士(法学)。 主要業績に、『初期カルヴァンの政治思想』(新教出版社、1999年)、「救済・霊・預言――現代アメリカにおける福音派と政治」『ポスト・ウォー・シティズンシップの思想的基盤』(慶應義塾大学出版会、2008年)、「日本プロテスタンティズムの戦後経験――福音派を中心に」『ポスト・ウォー・シティズンシップの構想力』(慶應義塾大学出版会、2005年)など。
川上 洋平(かわかみ ようへい) 慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程在籍。 主要業績に、「ジョゼフ・ド・メーストルの主権論における専制批判――『人民主権』と摂理主義」『政治思想研究』第6号(2006年)、「ジョゼフ・ド・メーストルにおける戦争と平和――啓蒙批判としての戦争論」『法学政治学論究』第76号(2008年)、「忘却としての権力――ポール・リクールのアーレント解釈における政治的逆説」『ポスト・ウォー・シティズンシップの思想的基盤』(慶應義塾大学出版会、2008年)など。
堤林 剣(つつみばやし けん) 慶應義塾大学法学部教授。 ケンブリッジ大学博士課程修了(Ph.D)。 主要業績に、「自由のパラドックス――ルソー・コンスタン・バーリン」『思想』1998年1月号、「バンジャマン・コンスタンの思想世界」『法学研究』第74巻第8号(2001年)、「バンジャマン・コンスタンのアナクロニズム批判のアナクロニズム」『法学研究』第76巻第12号(2003年)など。
矢野 卓也(やの たくや) 財団法人日本国際フォーラム研究員。 慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。 主要業績に、「ハーバート・スペンサーにおける『完全社会』と『政治』」『法学政治学論究』第59号(2003年)、「ハーバート・スペンサーにおける『世論』と『政治』」『法学政治学論究』第60号(2004年)など。
植木 献(うえき けん) 明治学院大学教養教育センター専任講師。 国際基督教大学大学院比較文化研究科博士課程修了。博士(学術)。 主要業績に、「人間の自由とその限界――ラインホルド・ニーバーにおけるアイロニー」『日本の神学』第42号(2003年)、「信仰と経験との間の円環的関係――ラインホルド・ニーバーのコモンセンス理解」『日本の神学』第45号(2006年)など。
神島 裕子(かみしま ゆうこ) 早稲田大学国際教養学部助手。 東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。 主要業績に、「グローバルな正義をめぐる対抗――センとポッゲ」『ポスト・リベラリズムの対抗軸』(ナカニシヤ出版、2007年)など。
高橋 康浩(たかはし やすひろ) 新潟大学人文学部准教授。 慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程修了。 主要業績に、『イギリスとアメリカ植民――「黄金」と「キリスト教」』(共著、ブックレット新潟大学49、2008年)など。
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