戦後を代表する言論人であり、今上陛下の御教育掛であった小泉信三は、長谷川如是間や柳田國男から「当代の名文家」と称賛されたエッセイの書き手でした。現在では入手が困難となっている小泉の随筆を、歿後50年を記念して 「小泉信三エッセイ選1 善を行うに勇なれ」、 「小泉信三エッセイ選2 私と福澤諭吉」の2巻に編集し、刊行しました。
戦後を代表する言論人であり、今上陛下の御教育掛であった小泉信三は、長谷川如是間や柳田國男から「当代の名文家」と称賛されたエッセイの書き手でした。現在では入手が困難となっている小泉の随筆を、歿後50年を記念して 「小泉信三エッセイ選1 善を行うに勇なれ」、 「小泉信三エッセイ選2 私と福澤諭吉」の2巻に編集し、刊行しました。
「1 善を行うに勇なれ」は、戦前・戦中の苦難の時代の慶應義塾長として、また戦後、日本を代表する言論人として執筆した、数多のモラル・バックボーンとなる文章に加え、東京オリンピック、皇太子殿下(今上天皇)に関わる現代史の証言として価値の高いエッセイ六十余編を収録。
今こそ読まれるべき「勇気ある自由人」小泉信三の言葉の数々。
〈主要収録エッセイ〉
小恍惚/戦時の花/燈台守り/スタンドプレエ/晴天の友/ みんな勇気を/徳教は目より入り、耳より入る/国を想う/ 愛国心/気ままへの阿り/寛容と規律/ペンと剣/学生に与う/ わが願望/塾の徽章/塾生諸君に告ぐ万年の春/ 東京五輪の自信と教訓/この頃の皇太子殿下
三月二十五日から五月十日まで、三十六回にわたって産経新聞に連載された
「みんな勇気を──許すまい小暴力──」
は異常の反響を呼んで、それにたいする投書は前後八百通を越え、珍しいことに、反対や冷評の投書は一つもなかったという。
それは当然であろう。それは人々が常に心に思い、いわんと欲していわなかったことを代わっていったからである。たとえば会議の議場などで、正しい主張ではあるが決断を要するような提議がなされた場合、一瞬、人々が顔を見合わせているようなとき、一人が敢然率先して拍手すれば、人々はこれに応じ、やがて嵐のごとき満場の喝采となるという光景は、折々見るところであるが、「みんな勇気を」と、それにたいする反響にも、まま似た趣きがあったと思う。それは産経新聞の近年のヒットであるが、しかし、誰れのヒットなどということは問題ではない。誰れが最初に拍手したかということよりも、満場の拍手が起こったというそのことが、何よりも喜ばしい。
分野 | 人文書 | |
---|---|---|
初版年月日 | 2016/10/31 | |
本体価格 | 2,800円 | |
判型等 | 四六判/上製/304頁 | |
ISBN | 978-4-7664-2383-9 |
「福澤先生のエライところはどこだったろう」と私はいった。「それは愛よ」(「姉弟」より)――
「2 私と福澤諭吉」は、幼少期に傍でみていた福澤諭吉を個人的に追憶する随筆から、歴史的資料を精読して研究者の視点で福澤を描いた小論まで、数々の福澤像を描いた文章をバランスよく編集。慶應義塾ひいては近代日本の一つの思想体系をあぶり出す。
〈主要収録エッセイ〉
姉弟/師弟―福澤諭吉と私の父―/つむじ曲りの説/ 抵抗の精神/福澤先生が今おられたら/佐藤春夫/父として の福澤先生/大隈重信と福澤諭吉/ 福澤諭吉と北里柴三郎/文字による戯画/ 福澤と唯物史観/帝室論/福澤研究の方向について
何事によらず他に逆らい、人が右といえば
今後、個人としても国民としても、明らかな認識、正しい洞察は何よりも大切であるが、それとともに、時としては曲るつむじも是非用意して置きたいものである。
分野 | 人文書 | |
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初版年月日 | 2017/01/25 | |
本体価格 | 2,800円 | |
判型等 | 四六判/上製/304頁 | |
ISBN | 978-4-7664-2384-6 |
経済学者・社会思想家であり、慶應義塾長であった小泉信三が遺した、スポーツにまつわる文章を集めた随想集。
「スポーツが与える三つの宝」とは何か?
皇太子殿下(今上天皇)のご教育にもあたった小泉信三の良識と気品あふれる文章を味わえる一冊。
●立ち読み「自慢高慢」
「自慢高慢バカのうち」。
と、子供のときに戒められた。たしかにその通りで、私もバカと思われたくないのは山々であるが、ところが、したい自慢はやはりしたい。先日、私は六大学野球の始球式に出て、神宮球場のマウンドからストライクを投げた、といって新聞にほめられた。どうもその話を書いて吹聴したいのである。七十七歳という自分の年を省み――また教育者と見られている私として――どんなものか、と色々考えて見たが、やはり書いて『新文明』に投稿したくなった。
三月の終りか四月の始めであった。慶應の当時の野球部長から電話があって、今年は慶應が六大学の当番校で、慣例上塾のものが始球式に投げなければならぬが、ということで、私に出てくれないかという。その時私は珍しく風邪を引き、数日来臥床していたのであったが、電話を取り次いだ妻に「承知した」と即答した。妻は驚いたようで、大丈夫か、ときいたが、結局私のいう通り電話に答えた。
昭和33年~40年の「福澤先生と近代日本」「福澤諭吉と北里柴三郎」「私の読書歴」「スポーツが与える三つの宝」の小泉信三の4つの講演を3巻組のCDに収録し、様々な角度から、肉声を通して小泉信三という人物の語り口に触れることができる待望の講演CD集。小泉信三の肉声を聞かれた方も、その声を初めて聞く方にも最適な小泉信三入門。 図書館館外貸出可。
CD1 福澤先生と近代日本
CD2 福澤諭吉と北里柴三郎
CD3 私の読書歴/ スポーツが与える三つの宝
「善を行うに勇なれ」
塾長として戦時の慶應義塾を守り、戦後は文筆家として日本の幅広い層に影響を与え、今上天皇の皇太子時代の御教育常時参与として世に知られる小泉信三。その生涯を、平易な文体で描いた待望の伝記。
子どもから大人まで、世代を超えて読める「小泉信三入門」として最適であり、また慶應義塾の歴史を知る上でも欠かせない一冊。
『アルバム 小泉信三』(山内 慶太 編、神吉 創二 編、都倉 武之 編)
今に生きる 昭和の「自由の精神」――小泉信三。
2008年に慶應義塾で行われた「生誕120年記念 小泉信三展」で完売した図録を待望の市販化。
新発見の資料に加え、展覧会で評判を呼んだ「スポーツのが与える三つの宝」など小泉信三の講演二編を収めた「特別付録CD」を付す。日本を代表する知識人として活躍し、東宮御教育常時参与として皇太子殿下(今上天皇)のご教育にもかかわった小泉信三の生涯の軌跡を、図版約300点と豊富な解説で伝えるオールカラー愛蔵版。
『父 小泉信三を語る』(小泉 妙 著、山内 慶太 編、神吉 創二 編、都倉 武之 編)
娘が語る、小泉信三と良き家族の肖像。
――食卓で、父はよく語る人でした。小泉信三(1888-1966)生誕120年を記念して企画された、エッセイストとしても著名な小泉信三の二女による聞き書き。良き家庭人としての小泉信三の姿が、エスプリのきいた娘の語りで活きいきとよみがえる。
幸田露伴、吉田茂、米内光政、古今亭志ん生、佐藤春夫をはじめ、幅広い交友関係と、東宮御教育常時参与として皇太子殿下(今上天皇)とのご親交を記した未公開日記も収録。
経済学者・社会思想家として戦前・戦後の日本をリードした巨星、小泉信三の若き日の日記を初公刊する注目の書。
慶大卒業後、留学出発までの東京生活、ロンドン、ベルリンでの留学生活、そして第一次大戦勃発でベルリンを脱出するまでの3年8か月が、学問・スポーツ・芸術、そして友情と恋心をめぐって活きいきと描かれる。当時の絵葉書も多数収録、時代の雰囲気が浮かび上がる。
『小泉信三全集』(文藝春秋)にも収録されていない秘蔵の日記で、話題性十分の大著です。