神・自然・人間の時間
古代・中近世のときを見つめて
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「時間」とは何か 「とき」を理解し、己のものにしようと見つめつづけた人間たちの思想的、文化的営為を探る。
環地中海世界を中心に、古代から近代への大きな時間幅の中で、人々が、「神の時間」、「自然の時間」、「人間の時間」をそれぞれどのように把握していたのかを問い直す論文集。
はじめに 徳永聡子
T 古代ギリシア・ローマ クロノスとカイロス ――古代ギリシアの時間概念とそのキリスト教的変容 土橋茂樹 キケローと暦、日付 ――書簡集を中心として 小池和子 U 中世ヨーロッパ ときを記録する ――中世ヨーロッパの時間意識と過去―現在―未来 岩波敦子 聖霊の時間形式を求めて ――中世における予型論について 山内志朗 煉獄の時間とSir Orfeo の時間 松田隆美 西欧中世における説教の「心中の暦 ……
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【編著者】 徳永 聡子(とくなが さとこ) 慶應義塾大学文学部教授。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程修了。 専門は中世イギリス文学、書物史。 主要業績:『旅するナラティヴ――西洋中世をめぐる移動の諸相』(共編著、知泉書館、2022 年)、 Caxton’s Golden Legend, EETS OS 355, 357(共編著、Oxford University Press, 2020-1)、 『出版文化史の東西――原本を読む楽しみ』(編著、慶應義塾大学出版会、2015 年)。
【執筆者】(掲載順) 土橋 茂樹(つちはし しげき) 中央大学文学部教授。上智大学大学院博士後期課程単位取得満期退学。 専門は古代・中世哲学、教父学。 主要業績:『善く生きることの地平――プラトン・アリストテレス哲学論集』(知泉書館、2016 年)、 『教父と哲学――ギリシア教父哲学論集』(知泉書館、2019 年)。
小池 和子(こいけ わこ) 慶應義塾大学言語文化研究所教授。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得満期退学。 専門は西洋古典学(ラテン文学)。 主要業績:『カエサル――内戦の時代を駆け抜けた政治家』(岩波書店、2020 年)。
岩波 敦子(いわなみ あつこ) 慶應義塾大学理工学部教授。ベルリン自由大学Dr. Phil. 博士号取得。専門はヨーロッパ中世史。 主要業績:Memoria et oblivio. Die Entwicklung des Begriffs memoria in Bischofs-und Herrscherurkunden des Hochmittelalters, Berlin: Duncker & Humblot, 2004; 『誓いの精神史――中世ヨーロッパのことばとこころ』(講談社、2007 年)、 『中世ヨーロッパの「伝統」――テクストの生成と運動』(共編著、慶應義塾大学言語文化研究所、2022 年)。
山内 志朗(やまうち しろう) 慶應義塾大学名誉教授。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得満期退学。 専門は中世哲学。 主要業績:『普遍論争――近代の源流としての』(平凡社、2008 年)、 『存在の一義性を求めて――ドゥンス・スコトゥスと13 世紀の〈知〉の革命』(岩波書店、2011 年)。
松田 隆美(まつだ たかみ) 慶應義塾大学名誉教授。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程修了、 ヨーク大学大学院博士課程修了。専門は中世英文学。 主要業績:『煉獄と地獄――ヨーロッパ中世文学と一般信徒の死生観』(ぷねうま舎、2017 年)、 『チョーサー『カンタベリー物語』――ジャンルをめぐる冒険(世界を読み解く一冊の本)』(慶應義塾大学出版会、2019 年)。
赤江 雄一(あかえ ゆういち) 慶應義塾大学文学部教授。リーズ大学中世研究所博士課程修了。専門は西洋中世史。 主要業績:『知のミクロコスモス――中世・ルネサンスのインテレクチュアル・ヒストリー』(共著、中央公論新社、2014 年)、 『中世ヨーロッパの「伝統」――テクストの生成と運動』(共編著、慶應義塾大学言語文化研究所、2022 年)、 A Mendicant Sermon Collection from Composition to Reception: The 'Novum opus dominicale' of John Waldeby, OESA (Sermo, 7), Turnhout:Brepols, 2015; 訳書:ジョン・H.アーノルド著『中世史とは何か』(共訳、岩波書店、2022 年)。
鎌田 由美子(かまだ ゆみこ) 慶應義塾大学経済学部准教授。ニューヨーク大学美術研究所にて博士号取得。 専門はイスラーム美術史。 主要業績:『絨毯が結ぶ世界――京都祇園祭インド絨毯への道』(名古屋大学出版会、2016 年), Yumiko Kamada, “The Material Translation of Persian and Indian Carpets and Textiles in Early Modern Japan,” in In-Between Textiles, 1400-1800, Amsterdam: Amsterdam University Press, 2023, pp. 305-326.
北田 信(きただ まこと) 大阪大学大学院人文学研究科外国学専攻教授。マルティン・ルター大学(ハレ)哲学部博士課程修了。 専門はウルドゥー語学・文学。 主要業績:The Body of the Musician. An annotated Translation and Study of the Pindotpatti-prakarana of Sarngadeva's Sangitaratnakara. Bern: Peter Lang 2012 (Worlds of South and Inner Asia Vol. 3)
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