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少人数学級の経済学

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四六判/上製/304頁
初版年月日:2023/04/20
ISBN:978-4-7664-2888-9
(4-7664-2888-9)
Cコード:C3033
定価 2,970円(本体 2,700円)
少人数学級の経済学
エビデンスに基づく教育政策へのビジョン
書評 目次 著者略歴

因果推論に基づいた現代的分析

未来を担う子どもたちを育む学校教育。本書は経済学をベースに社会学・心理学・認知科学等からの知見を取り入れ、少人数学級がもたらす学力・非認知能力の向上、学校教員の過重労働の軽減、教員不足解消への採用方策、教員のウェルビーイング、政策のコスト・パフォーマンス分析などの論点を、エビデンスを重視して検証する。教育経済学の新地平。
少人数学級制度は、子どもや教員にどんな影響をもたらすのか。

現在導入が始まっている小学校での35人学級の教育的・経済的効果を実証的に分析。生徒レベルの詳細なデータを用い、因果推論の手法を活用して、35人学級に代表される少人数学級教育は子どもの学力を向上させるのか、そして近年その重要性が認識されている子どもの「非認知能力」を伸ばす効果はあるのかを解き明かすとともに、少人数学級はいじめや格差を縮小・是正するか、といった「効果の異質性」についても言及する。

また、少人数学級の導入がもたらす教員配置数の増加によって教師の就業環境が改善し、労働時間の減少やストレスの低減をもたらすことを、著者自身の研究成果に基づいて明らかにする。さらに、少人数学級政策の導入には、教員の増大に伴う巨額の費用が発生する。第5章ではやや視点をマクロの財政面に置き、少人数学級は巨額の費用負担に見合うほどの効果を持つのかについて、費用対効果の視点から国内外の研究成果をもとに試算する。

EBPM(科学的根拠に基づく政策形成)の波は教育行政にも押し寄せている。教育領域におけるEBPMは、他領域におけるそれと同様に考えてよいのか、それとも教育領域に独自の性質があるのか。これまでの研究に基づきながら、EBPMを教育分野に適用することの必要性を論じる。


2021年のノーベル経済学賞は、実験が難しい経済学において、自然実験などを活用した因果推論の手法を確立・発展させた研究者に贈られた。中でも、受賞者の一人であるアングリスト教授は,1999年に少人数学級の効果を検証した論文を発表し、その後の研究を切り開いたことが評価された。本書はアングリスト教授の分析手法を応用して日本の実情に適用した分析結果を提示するなど、現代的な因果推論に基づく実証分析の結果を提示するという点で学術的な貢献を持つ。

書評

『経済セミナー』 2023年10・11月号 「BOOK ANGLE/書評」(P.128)に書評が掲載されました。評者は篠崎武久氏(早稲田大学理工学術院教授)です。
『週刊東洋経済』2023年7月1日号(p.99)「ブックレビュー 話題の本」に書評が掲載されました。評者は河野龍太郎氏(BNPパリバ証券経済調査本部長)です。
『毎日新聞』 2023年5月13日(14面・読書面/今週の本棚)に書評が掲載されました。評者は、大竹文雄氏(大阪大特任教授・経済学)です。

目次

序章 日本の学校教育の現状と少人数学級――教育経済学の視点
教育経済学の視点:日本の児童・生徒の学力と学校環境/教育格差の視点:家庭環境の影響/学級規模と少人数学級政策

第1章 少人数学級は学力を向上させるのか
「すし詰め」解消への道程――戦後日本が歩んだ学級編制の推移/学級規模研究の歴史/少人数学級の学力向上効果――近年の研究成果/効果の異質性:少人数学級は教育格差を縮小するか/少人数学級の学力向上効果

第2章 少人数学級と非認知能力
高まる非認知能力への注目/非認知能力とは ……

著者略歴 著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。

北條雅一(ほうじょう・まさかず)
駒澤大学経済学部教授。
1977年生まれ。99年神戸大学経済学部卒業。2003年大阪大学大学院国際公共政策研究科博士後期課程中途退学。05年、博士(国際公共政策)取得。大阪大学助手、新潟大学人文社会・教育科学系助教授、准教授、文部科学省国立教育政策研究所客員研究員などを経て2018年より現職。

主要業績:
"Association between student-teacher ratio and teachers’ working hours and workload stress: evidence from a nationwide
survey in Japan, " BMC Public Health 21, 1635 (2021).
"Do the disadvantaged benefit more from small classes? Evidence from a large-scale survey in Japan," co-authored with Wataru Senoh, Japan and The World Economy 52, 100965 (2019).  
「学歴収益率についての研究の現状と課題」『日本労働研究雑誌』60巻5号所収、2018年
「学級規模の縮小は中学生の学力を向上させるのか」『国立教育政策研究所紀要』第145巻所収、2016年
「少人数学級の効果」『経済セミナー』2015年5月号所収  ほか多数

定価2,970円 (本体:2,700円)
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