▼サエズ、ズックマンなどピケティの共同研究者をはじめ、世界トップクラスの経済学者が格差論を論じあう。 ▼格差をなくすための具体的思索から哲学・政治論まで幅広く議論する。 ▼喫緊の課題である格差への問題意識を共有し、未来への提言を行う。
ピケティ『21世紀の資本』以降、格差をめぐって理想論や抽象的な正義の問題ではなく、具体的な対策が期待されるようになってきた。その役割として政府による政策の力が見直されるようになってきた。 世界トップレベルの経済学者を中心に、格差の現状、その弊害から具体的な政策論の意見を闘い合わせたシンポジウムの記録。
『世界経済評論』(2023年5・6月号)Book reviews(p.92)に書評が掲載されました。評者は清水一史氏(九州大学経済学研究院教授)です。
『読売新聞』 2022年12月25日(11面・本よみうり堂)「読書委員が選ぶ「2022年の3冊」」にて、 牧野邦昭氏(経済学者・慶應義塾大学教授)に選んでいただきました。
『週刊東洋経済』 2022.12.24−12.31 合併号(p.224)「ベスト経済書・経営書」2022年ランキングで、5位に選ばれました。推薦者は枩村秀樹氏(日本総合研究所調査部長)、原田泰氏(名古屋商科大学ビジネススクール教授)です。
序章 格差拡大を逆転させる手段はある(オリヴィエ・ブランシャール&ダニ・ロドリック)
第T部 状況の展望 第1章 先進国の格差をめぐる10の事実(ルカ・シャンセル) 第2章 状況についての議論(ピーター・ダイアモンド)
第U部 倫理と哲学の元 第3章 経済理論に新たな哲学的基盤が求められる時代か?(ダニエル・アレン) 第4章 経済学者が対処すべきはどんな格差か?(フィリップ・ヴァン・パリース) 第5章 なぜ格差が問題なのか?(T・M・スキャンロン)
第V部 政治 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
[編者] オリヴィエ・ブランシャール(Olivier Blanchard) ピーターソン国際経済研究所シニア・フェロー。マサチューセッツ工科大学(MIT)経済学部ロバート・M・ソロー名誉教授。IMFでチーフエコノミストを務める。著書に『ブランシャール マクロ経済学(第2版)』(中泉真樹他訳、東洋経済新報社)などがある。
ダニ・ロドリック(Dani Rodrik) ハーヴァード大学ケネディスクール校国際政治経済学フォード財団教授。著書に『グローバリゼーション・パラドクス:世界経済の未来を決める三つの道』(柴山桂太・大川良文訳、白水社)などがある。
[訳者] 月谷 真紀(つきたに・まき) 翻訳者。訳書に、カプラン『大学なんか行っても意味はない?』、ラジャン『第三の支柱』(以上、みすず書房)、ロビンソン『政府は巨大化する』(日本経済新聞出版)などがある。
[解説] 吉原 直毅(よしはら・なおき) マサチューセッツ大学アマースト校経済学部教授、一橋大学経済研究所特任教授。一橋大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。博士(経済学)。一橋大学大学院経済学研究所教授などを経て現職。専門は理論経済学。著書に『労働搾取の厚生理論序説』(岩波書店)、共著に『マルクスの使いみち』(太田出版)、編著に『されどマルクス』(日本評論社)などがある。
[執筆者](執筆順) ルカ・シャンセル(Lucas Chancel)[第1章] パリ経済学院研究員。パリ政治学院客員教授。専門は格差問題、持続可能な発展など。
ピーター・ダイアモンド(Peter Diamond)[第2章] マサチューセッツ工科大学(MIT)経済学部教授。労働経済学におけるリサーチ理論の発展に寄与。2010年ノーベル経済学賞を受賞。現在は社会保障問題に取り組んでいる。
ダニエル・アレン(Danielle Allen)[第3章] ハーヴァード大学ジェイムズ・ブラウン・コナント教授。専門は古典学、政治学。
フィリップ・ヴァン・パリース(Philippe Van Parijs)[第4章] ルーヴァン大学経済・社会・政治科学部教授。著作に『ベーシックインカムの哲学』(後藤玲子・齊藤拓訳、勁草書房)がある。
T・M・スキャンロン(T. M. Scanlon)[第5章] ハーヴァード大学哲学部アルフォード教授。専門は政治哲学、道徳哲学など。
ベン・アンセル(Ben Ansell)[第6章] オックスフォード大学政治学・国際関係学部教授。専門は比較政治学、教育の政治学など。
シェリ・バーマン(Sheri Berman)[第7章] バーナード・カレッジ政治学部教授。専門はヨーロッパの歴史と政治。特に民主主義、ファシズム、左翼史など。
ノーラン・マッカーティ(Nolan McCarty)[第8章] プリンストン大学公共国際問題学部スーザン・ドッド・ブラウン政治学公共問題教授。
ジェシー・ロススタイン(Jesse Rothstein)[第9章] カリフォルニア大学バークレー校チャンセラー教授。専門は公共政策、経済学。
ローレンス・F・カッツ(Lawrence F. Katz)[第9章] ハーヴァード大学経済学部エリザベス・アリソン経済学教授。専門は労働経済学、社会問題の経済学。
マイケル・スタインズ(Michael Stynes)[第9章] ジェイン・ファミリー研究所 CEO。
ターマン・シャンガラトナム(Tharman Shanmugaratnam)[第10章] シンガポール上級相兼社会政策調整相、シンガポール金融管理局長などを務める。
デヴィッド・オーター(David Autor)[第11章] マサチューセッツ工科大学(MIT)経済学部フォード財団教授。専門は労働経済学を中心に幅広い分野で多くの論文を発表している。
クリスチャン・ダストマン(Christian Dustmann)[第12章] ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)教授。専門は労働経済学、移民研究など。
キャロライン・フロイント(Caroline Freund)[第13章] ピーターソン国際経済研究所のシニア・フェロー。カリフォルニア大学サンディエゴ校グローバル政策・戦略学部長。
N・グレゴリー・マンキュー(N. Gregory Mankiw)[第14章] ハーヴァード大学経済学部教授。著書に『マンキュー マクロ経済学(第4版)』(足立英之他訳、東洋経済新報社)がある。
ローレンス・H・サマーズ(Lawrence H. Summers)[第15章] ハーヴァード大学チャールズ・W・エリオット教授。世界銀行チーフエコノミスト、財務長官などを務めた。
エマニュエル・サエズ(Emmanuel Saez)[第16章] カリフォルニア大学バークレー校経済学部教授。共著に『つくられた格差』(ズックマンとの共著、山田美明訳、光文社)。
ダロン・アセモグル(Daron Acemoglu)[第17章] マサチューセッツ工科大学(MIT)経済学部エリザベス&ジェイムズ・キリアン記念教授。共著に『自由の命運』(ロビンソンとの共著、櫻井祐子訳、早川書房)などがある。
フィリップ・アギオン(Philippe Aghion)[第18章] コレージュ・ド・フランス教授。専門は経済成長、イノベーション研究。
ローラ・ダンドレア・タイソン(Laura D’ Andrea Tyson)[第19章] カリフォルニア大学バークレー校ハースビジネススクール特別教授。専門は経済学、公共政策。クリントン政権の大統領経済諮問会議議長を務める。
マリアンヌ・ベルトラン(Marianne Bertrand)[第20章] シカゴ大学ブースビジネススクール、クリス・P・ディアリナス経済学教授。専門は応用経済学、労働経済学。
リチャード・B・フリーマン(Richard B. Freeman)[第21章] ハーヴァード大学経済学部ハーヴァード・アッシャーマン経済学教授。専門は労働問題、ワークライフ問題。
ウィリアム・ダリティ・ジュニア(William Darity Jr.)[第22章] デューク大学スタンフォード公共政策学院サニュエル・デュボア・クック公共政策教授。 専門は人種間、階級間、民族間の不平等。
デヴィッド・T・エルウッド(David T. Ellwood)[第23章] ハーヴァード大学ケネディスクール校イザベル&スコット・ブラック政治経済学教授。 専門はアメリカの公共政策。
ハイディ・シアホルツ(Heidi Shierholz)[第24章] シンクタンク、エコノミック・ポリシー・インスティテュート所長。
ジェイソン・ファーマン(Jason Furman)[第25章] ハーヴァード大学ケネディスクール校エトナ経済政策実践教授。オバマ政権の大統領経済諮問会議議長を務めた。
ヒラリー・ホインズ(Hilary Hoynes)[第26章] カリフォルニア大学バークレー校公共政策・経済学教授。専門は税制、低所得者への移転問題。
ヴァイチェフ・コプチュク(Wojciech Kopczuk)[第27章] コロンビア大学経済学部教授。専門は国際経済学、公共・非営利分野。
ステファニー・スタンチェヴァ(Stefanie Stantcheva)[第28章] ハーヴァード大学経済学部ナサニエル・ロペス政治経済学教授。専門は財政学。社会調査、実験を用いた研究を行っている。
ガブリエル・ズックマン(Gabriel Zucman)[第29章] カリフォルニア大学UCバークレー校経済学部准教授。タックス・ヘブンの研究で知られる。著書に『失われた国家の富』(林晶宏訳、NTT出版)がある。
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