「ネオ・チャイナリスク」研究
ヘゲモニーなき世界の支配構造
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巨龍はついに世界を呑み込むのか
中国のプレゼンスに対する危機意識(チャイナリスク)は「外国企業が中国国内で活動する際の不確実性と落とし穴」という従来の定義から「国際社会でのなりふり構わぬ挙動に世界はどう対峙するか」へとフェーズが大きく変わった。 新旧体制が複雑に混在しつつも覇権奪取へと邁進する強国の実態を中国人エコノミストが切れ味よく解説する本格的現代中国論。
▼疾走する“奔馬”はどこへ向かうのか。 ▼覇権国へと一気に躍り出ようとする習近平政権の戦略とその行方を、複眼的視点から精緻に分析する。
中国とビジネスを行う企業にとってだけでなく、国際社会にとって、日本やアジアにとって、そして中国自身にとっても「チャイナリスク」の定義がいま大きく変わりつつある。この動向に対して、中国人エコノミストの視点から、経済的アプローチだけでなく、政治的・歴史的・文化面など多彩な角度で考察を加えていく。 前著『中国「強国復権」の条件』は、「来日以来30年を経て、著者が改めて母国に送る忌憚のない建議書」と高く評価されたが、本書はさらによりスケールアップした内容となっている。

『中国研究月報』 2022年8月号 Vol.76 No.8(No.894)(p.41〜p.42)に書評が掲載されました。評者は伊藤信悟氏(株式会社国際経済研究所)です。
ファイナンス 2021年9月号(p.38〜p.39)に書評が掲載されました。評者は高見博氏(前財務総合政策研究所 副所長)です。
新国策 2021年9月号(p.25)に書評が掲載されました。評者は渡部恒雄氏(笹川平和財団上席研究員)です。

序 章 中国の台頭と「ネオ・チャイナリスク」の浮上
第T部 「チャイナリスク」の再定義
第1章 変化する「チャイナリスク」の意味 1 看過された「新たなる脅威の台頭」 2 いまだ問われない「独裁」と「文革」の責任 3 中国共産党にとっての「チャイナリスク」 4 世界にとっての「チャイナリスク」 5 日本にとっての「チャイナリスク」
第2章 リスクを生み出す既存制度の脆弱性 1 独裁的強権制度の脆弱性と歪み 2 正統性なき権力の不安定性 3 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
柯 隆(か・りゅう:Ke, Long) 1963年、中国・南京市生まれ。88年来日、愛知大学法経学部入学。92年、同大学卒業。92〜94年、ロータリークラブ米山記念奨学生。94年、名古屋大学大学院修士課程修了(経済学修士号取得)、長銀総研入所。98年、富士通総研経済研究所へ移籍。2006年より同研究所主席研究員。2018年、東京財団政策研究所に移籍、現在、同研究所主席研究員。静岡県立大学グローバル地域センター特任教授、多摩大学大学院客員教授、国際経済交流財団(JEF)Japan SpotLight編集委員を兼務。 この間、財務省関税外国為替等審議会委員、財務政策総合研究所中国研究会委員、JETROアジア経済研究所業績評価委員、慶應義塾大学グローバルセキュリティ研究所客員研究員、広島経済大学特別客員教授等を歴任。 主著 『中国の統治能力』(共著)慶應義塾大学出版会、2006年 『中国の不良債権問題』日本経済新聞社、2007年 『チャイナクライシスへの警鐘』日本実業出版社、2010年 『中国「強権復権」の条件』慶應義塾大学出版会、2018年(第13回樫山純三賞受賞)など。
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