中国「強国復権」の条件
「一帯一路」の大望とリスク
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公益財団法人 樫山奨学財団 第13回樫山純三賞〈一般書〉を受賞しました。
「改革・開放」40年――“目覚めた獅子”はどこへ向かうのか
アヘン戦争以来“中華”の座を追われた中国は、150年余りを経ていま再び世界の中心へと返り咲こうとしている。新しいシルクロード・ネットワークの構築や国際金融機関の中核を担うなど、覇権回復への旺盛な意欲を世界に向けて発信している。 しかし、その足元は十分に安定的なのか? 国内に残る諸問題をいかに整理し、名実ともに王座奪還を果たすには、何が必要か? 気鋭の中国人エコノミストが自国の状況を余すところなく解き明かす!
▼勢いの衰えを見せるアメリカをよそに、着々と覇権奪還を準備する中国の進み行く方向と、その足元の不安定度をつぶさに捉える! ▼政策の背景に潜む「中国的思考」を読み解き、毛沢東思想への回帰と独裁的権力集中の危うさを考える。
一帯一路構想を掲げアジアインフラ投資銀行(AIIB)を設立するなど、国際的なプレゼンスを高める中国。しかし、その進め行く政策には多分に矛盾を孕んだものも見受けられる。ITネットワークによって経済の近代化を進めれば進めるほど、同時にインターネットによる拡散で「民主化」「自由思考」が浸透し、一党独裁の基盤が揺らぐ。外国の自由な空気に触れた「海亀組」は中国に帰国せず、自由主義国にとどまって働くことを選び、結果として優秀な人材を流出させることになるなど、今後中国が直面する難題をどう修正するか――本書には、日本人が気づきにくい多くの視点から中国をどう見て行くべきか、そのヒントが数多く鏤められている。
『中国研究月報』 2019年11月号(第73巻第11号)(p.28〜p.31)に書評が掲載されました。評者は山田賢一氏(NHK)です。
公益財団法人 樫山奨学財団 会報「かしの芽」 2019年3月(Vol.85)(p.10〜p.11)に第13回樫山純三賞の表彰式の記事が掲載されました。
科学技術振興機構 中国の科学技術の今を伝える「Science Portal China」に書評を掲載いただきました。 本文はこちら
第1章 中国的ヘゲモニーと一帯一路 第2章 中華民族の復興と富国強兵の夢
第3章 ケ小平の目指したもの――なぜ彼は毛沢東を否定しないのか
第4章 文革世代の統治と毛沢東思想への回帰
第5章 「改革」と「開放」の矛盾
第6章 国有企業――社会主義計画経済の亡霊 第7章 一帯一路構想と習近平政権の国際戦略 第8章 IT革命と中国社会の変革
第9章 制度論からみた「改革・開放」政策の行方
第10章 中国が「強国」になる条件
あとがき―― ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
柯 隆(か・りゅう、Ke Long) 1963年 中華人民共和国・江蘇省南京市生まれ。 88年来日、愛知大学法経学部入学。92年、 同大卒業。94年、 名古屋大学大学院修士課程修了(経済学修士号取得)、長銀総合研究所国際調査部研究員(98年まで)。98〜2006年、富士通総研経済研究所主任研究員、06年より同主席研究員を経て 現在 東京財団政策研究所主席研究員、静岡県立大学グローバル地域センター特任教授。 この間、中国浙江大学客員教授、財務政策総合研究所中国研究会委員、JETRO アジア経済研究所業績評価委員、慶應義塾大学グローバルセキュリティ研究所客員研究員、広島経済大学特別客員教授、国際経済交流財団『Japan Spotlight』編集委員(継続中)等を歴任。 母国の経済関連諸機関や官庁、企業とのつながりも厚く、日中をつなぐコーディネート役を数多く務めるほか、NHK(クローズアップ現代、日曜討論、ニュースウォッチ9など)、フジテレビ(BSプライムニュースなど)、テレビ東京(ワールド・ビジネス・サテライト、BS Japan プラス10など)に出演多数。 外国メディア(BBC、中国CCTV、ブルームバーグなど)への出演や講演、主要メディアへの寄稿も多数。 主著 『中国の統治能力』(共著)慶應義塾大学出版会、2006年 『中国の不良債権問題』日本経済新聞社、2007年 『チャイナクライシスへの警鐘』日本実業出版社、2010年 『爆買いと反日』時事通信社、2015年 など このほか論文、レポートを多数執筆・発表している。
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