漂泊のアーレント 戦場のヨナス
ふたりの二〇世紀 ふたつの旅路
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▼二〇世紀の破局を二人はどう生き、そこに何を見たのか。 「二一世紀の全体主義」に警鐘を鳴らす友情の記録。
政治の意味を問い続けたハンナ・アーレントと、 未来への責任を基礎づけたハンス・ヨナス。 盟友として、ユダヤ人として、思想家としてナチズムに対峙し、 ともに二〇世紀を駆け抜けた。 二人は、時代が課した過酷な宿命に向かい合い、 その破局に対して、それぞれの仕方で、答えを模索し続けた。 その二人の思想は「出生」という概念において、閃光のように交錯する。 アーレントとヨナスの人生と思索の軌跡を追い、 二一世紀を歩むわれわれへの問いかけを探る。
【「アーレントの葬儀におけるヨナスの弔辞」第6章より】 僕たちは、別々の場所に長く引き裂かれ、 善悪の判断が嵐に曝されたように崩壊していく世界を、切り抜けてきた。 重要なことは何で、そうではないことは何なのか、 本当に価値があることは何なのか、 恐怖すべきことは何なのか、 軽蔑すべきことは何なのか、 そういうことに対して僕たちは同じ気持ちを抱いていた。 それだけはいつも確かだったね。


『日本アーレント研究会会誌』 No.6、2021(p.74〜p.76)に書評が掲載されました。評者は細見和之氏(京都大学教授)です。
信濃毎日新聞 2021年1月30日(13面)「読書面」に書評が掲載されました。評者は千野貴裕氏(早稲田大学准教授)です。
日本将棋連盟 将棋コラム 2020年12月31日「本を読み、哲学する心地よさ――糸谷哲郎八段の素顔(PM3時の棋士たち)」にて、本書が紹介されました。紹介者は糸谷哲郎氏(棋士・八段)です。 本文はこちら

凡例・文献略号一覧
プロローグ 二〇世紀の破局を超えて アーレントとヨナス 漂泊と戦場 二人の交錯点――「出生」 本書の構成
第1章 友情と恋愛のあいだ――誕生から出会いまで 1903〜1933
アーレント 〇〜二七歳 幼年期と少女時代 ユダヤ人としての自覚 ヨナスとの出会い 博士論文「アウグスティヌスの愛の概念」 ナチ前夜の結婚
ヨナス 〇〜三〇歳 ヨナスの出生 読書の世界へ シオニズムへの夢 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
戸谷洋志(とや・ひろし) 1988 年生まれ。哲学専攻。現在、大阪大学特任助教。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。単著に『Jポップで考える哲学――自分を問い直すための15曲』(講談社、2016年)、『ハンス・ヨナスを読む』(堀之内出版、2018年)、共著に『棋士と哲学者――僕らの哲学的対話』(イーストプレス、2018年)がある。
百木 漠(ももき・ばく) 1982 年生まれ。社会思想史専攻。現在、立命館大学専門研究員。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。単著に『アーレントのマルクス――労働と全体主義』(人文書院、2018年)、共著に『現代社会理論の変貌――せめぎあう公共圏』(日暮雅夫・尾場瀬一郎・市井吉興編、ミネルヴァ書房、2016年)、『大学生のための社会学入門』(篠原清夫・栗田真樹編、晃洋書房、2016年)、『生きる場からの哲学入門』(大阪哲学学校編、新泉社、2019年)がある。
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