▼「感染症」と人類との闘いの歴史、人に変化や成長をもたらす「感染」など、様々な観点から感染のメカニズムを探る。
「感染」をテーマにして開講された慶應義塾大学「生命の教養学」講座の書籍化。 そもそも感染するとはどういうことなのか。 どのように感染は起こるのか。 また感染したものは、医学的に、社会的に、感情的に、どのように対応されてきたのか。 生物学、医学、公衆衛生政策あるいは疫学的な観点に加えて、歴史学、哲学、文学、コンピュータサイエンスの観点など、さまざまな角度から、私たちが逃れることのできない「感染る」世界にアプローチする。

はじめに 赤江 雄一・高橋 宣也
T 科学の目で見る感染 感染してくる“奴ら”の生物学的正体と生体防御の基礎 小野 裕剛 感染症と予防接種:ワクチンで変わる、感染症とのたたかい 岩田 敏 グローバル化した世界で感染症に立ち向かう意義を学際的に考える 中谷比呂樹 「感染」を数理で解き明かす 稲葉 寿
U 人類の歴史と感染 感染症と医学:社会の対応の歴史 鎌倉 光宏 中・近世ヨーロッパのペスト流行:「ペストの医者」の装束にみる感染の理解 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
【編者】 慶應義塾大学教養研究センター
赤江雄一(あかえ ゆういち) 慶應義塾大学文学部准教授。1971年生まれ。リーズ大学大学院博士課程。(Ph.D.)。専門は西洋中世史(宗教史・文化史)。共著に『知のミクロコスモス―中世・ルネサンスのインテレクチュアル・ヒストリー』(中央公論新社、2014年)、『はじめて学ぶイギリスの歴史と文化』(ミネルヴァ書房、2012年)などがある。
高橋宣也(たかはし のぶや) 慶應義塾大学文学部教授。1963年生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程修了。専門はイギリス文学。論文に「故郷なき者たちの拠り所――イギリスの「亡命者たち」が求めたワーグナー」(『ワーグナーシュンポシオン2018』所収)など。訳書にジョージ・バーナード・ショー『完全なるワーグナー主義者』(新書館、2003年)、エリック・リーヴィー『モーツァルトとナチス』(白水社、2012年)、エリック・ライディング & レベッカ・ぺチェフスキー『ブルーノ・ワルター――音楽に楽園を見た人』(音楽之友社、2015年)などがある。
【執筆者】 小野裕剛(おの ひろたけ) 慶應義塾大学法学部准教授。1964年生まれ。東北大学大学院理学研究科生物学専攻博士課程。博士(理学)。専門は分子遺伝学、科学教育。著作に『色素細胞〔第2版〕』(共著)慶應義塾大学出版会、2015年、『これだけはおさえておきたい生命科学』(共著)実教出版、2010年等。
岩田敏(いわた さとし) 国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院感染症部長/慶應義塾大学医学部客員教授。1952年生まれ。慶應義塾大学医学部卒業。医学博士(慶應義塾大学)。専門は小児科学、小児感染症、抗菌薬、腸内細菌叢、院内感染制御、予防接種。
中谷比呂樹(なかたに ひろき) 慶應義塾大学KGRI特任教授併せて世界保健機関(WHO)執行理事、厚生労働省国際参与、GHIT Fund会長、国立国際医療研究センター理事、国際臨床医学会理事、元WHO事務局長補(2015年5月まで)
稲葉寿(いなば ひさし) 東京大学大学院数理科学研究科教授。1957年生まれ。京都大学理学部卒、ライデン大学Ph.D.。専門は、数理人口学・数理疫学・構造化個体群ダイナミクス。著作に、Age-Structured Population Dynamics in Demography and Epidemiology, Springer 2017、『人口と感染症の数理』(共著)東京大学出版会、2014年等。
鎌倉光宏(かまくら みつひろ) 慶應義塾大学名誉教授。1954年生まれ。慶應義塾大学医学部・大学院医学研究科卒。医学博士。専門は、感染症学(特にHIV感染症の国際疫学)・国際保健学。著作に、“AIDS; A Basic Guide”(保健会館、1987)、The status and trends of HIV/AIDS epidemics in Asia and the Pacific, Springer 2010など著書、論文多数。
井上周平(いのうえ しゅうへい) 立教大学、獨協大学ほか非常勤講師。1978年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。専門は、中・近世ドイツ都市史、医療史。著作に、Carl Christian Wahrmann u.a.(Hg.), Seuche und Mensch(分担執筆、Duncker & Humblot, Berlin 2012)などがある。
鈴木晃仁(すずき あきひと) 慶應義塾大学経済学部教授。1963年生まれ。ロンドン大学(Ph.D.)。専門は、医学史、イギリスと日本の精神医療の社会史、感染症の歴史、受療行動の歴史。著作に、『〈ゆとり〉と生命をめぐって』(生命の教養学Y)、慶應義塾大学出版会、2011年(編著)。この講義の一部は “Public Health, Laboratory Experiment, and Asymptomatic Carriers in Japan ca. 1920-1950” EASTS, vol. 13, no. 1(2019)で論じました。
中尾央(なかお ひさし) 南山大学人文学部人類文化学科・人類学研究所准教授。1982年生まれ。博士(文学、京都大学)。専門は自然哲学。著作に『人間進化の哲学:行動・心・文化』(名古屋大学出版会)、『文化進化の考古学』(勁草書房、松木武彦・三中信宏と共編)。
寺田真敏(てらだ まさと) (株)日立製作所Hitachi Incident Response Teamチーフコーディネーションデザイナ、東京電機大学未来科学部教授。1961年生まれ。慶應義塾大学大学院後期博士課程修了。博士(工学)。専門はネットワークセキュリティ、インシデントオペレーション、脆弱性対策。2008年よりマルウエア対策研究人材育成ワークショップ組織委員として、マルウエア対策研究を推進している。
石塚久郎(いしづか ひさお) 専修大学文学部教授。1964年生まれ。エセックス大学大学院博士課程(Ph.D.)。専門は英文学、文学と医学。著作に、Fiber, Medicine, and Culture in the British Enlightenment (Palgrave Macmillan, 2016)、『病短編小説集』(平凡社ライブラリー、2016年)(監訳・編)などがある。
山下一夫(やました かずお) 慶應義塾大学理工学部准教授。1971年生まれ。慶應義塾大学文学研究科中国文学専攻後期博士課程単位取得退学。専門は中国文学・中国宗教・中国現代文化。『全訳封神演義』(共訳、全4冊、2017〜2018年)など。
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