プーチンのユートピア
21世紀ロシアとプロパガンダ
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21世紀のロシアでは、独裁さえもリアリティー・ショーである――。
ロシア系イギリス人のTVプロデューサー、ピーター・ポマランツェフ。 急成長を遂げるロシアのテレビ業界に潜入した彼は、図らずもロシアのあらゆる腐敗と遭遇する。映画監督に転身したギャング、ロシア史上最高の政治工学者、自爆テロ組織「黒い未亡人」を離れる売春婦、自殺したスーパーモデルとセクト、ロンドンに逃れ栄華を極めるオリガルヒ(新興財閥)――。 モスクワ劇場占拠事件や、ベロゾフスキーとアブラモヴィッチの裁判に立ち合い、ロシア・メディアの内側に蠢くプロパガンディストのやり口を知るポマランツェフは、プーチン独裁の先鋭化とともに、自身もまたその体制内部に引き込まれていることに気づく。
カネと権力に塗れたシュールな世界で、新たな独裁体制を築くプーチン。 クレムリンに支配されたメディアの内側から、 21世紀のロシア社会とプロパガンダの実態を描く話題作。
ロシア版『一九八四年』。
『日本経済新聞』 2022年5月14日(35面・読書面) 「今を読み解く」で、本書が紹介されました。紹介者は袴田茂樹氏(青山学院大学名誉教授)です。 本文はこちら(※有料会員限定記事です)
橘玲×ZAi ONLINE 2022年4月15日「橘玲の日々刻々・現在のロシアは「ポストモダンの独裁制」。真実などどこにもなく、すべてがでっちあげの「モダンの偽物」で合理的な人間も陰謀論者になる世界」で、本書が紹介されました。紹介者は橘玲氏(経済小説作家)です。 本文はこちら 紹介者のツイッターはこちら
静岡新聞 2018年9月30日(27面)「BOOK」で書評が掲載されました。評者は武田徹氏(ジャーナリスト)です。
日本語版への推薦文 ティモシー・スナイダー 第1幕 ロシアのリアリティー・ショー 幕が上がる 「 固定観念にとらわれていない」 今どきのヒーロー 今日のロシア 『ハロー・グッバイ』 創造の高み 第2幕 クレムリン・マトリックスの裂け目 幕が上がる もう一つのロシア 入門儀礼 真夏の夜の夢 第3幕 さまざまな
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
[著者] ピーター・ポマランツェフ(Peter Pomerantsev) 1977年ソ連のキエフでユダヤ人の家庭に生まれる。イギリスのTVプロデューサー、ジャーナリスト。Financial Times, Atlantic Monthly などの紙誌に精力的に寄稿している。ロシアをはじめとする「プロパガンダ」についてのオーソリティと目されている。1978年に、反体制派の作家であった父親イゴールの亡命に伴い、西独に出国。1980年にイギリスに渡る。エジンバラ大学を卒業後、2001年からロシアに滞在。とりわけ、2006年から10年までは、テレビ局TNTでリアリティー・ショーの制作に携わった。帰英後の2011年から Newsweek やAtlantic Monthly に寄稿を始めた。1ダース以上の言語に訳された本書で、2016年度英国王立文学協会オンダーチェ賞を受賞している。
[訳者] 池田年穂(いけだ としほ) 1950年生まれ。慶應義塾大学名誉教授。ティモシー・スナイダー『暴政』、タナハシ・コーツ『世界と僕のあいだに』(共に2017年)など訳書多数。
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