よりよき世界の表象をめざして
プラグマティックな言語論がベンサムの功利主義思想の哲学的基礎にあることを明らかにし、心理学、倫理学、法学、政治学など人間と秩序全般にわたる彼の厖大な思索を統一的に把握する。
功利主義の定礎者ジェレミー・ベンサム。本書は、彼の思想体系の基礎にプラグマティックな言語論があることを初めて明らかにし、心理学、倫理学、法学、政治学など、人間とその秩序全般にわたる彼の厖大な思索を詳細に読み解く。「法の科学」にもとづく若き日の法治国家構想から、包括的な社会改革理論の構築とその実践に邁進する晩年にいたるまで、〈フィクションの発明を通じた、実在世界のよりよき組織化〉をめざし続けた彼の理論的成果を統一的に把握する視座を確立し、道徳理論としての功利主義研究に新境地をひらく大著。

序論 第1節 本書の目的と意義 第2節 本書の研究に関わる先行研究の状況 第3節 本書の構成
第一部 ベンサム思想体系の哲学的基礎 第1章 言語論と論理学 第1節 〈方法〉の改革者 第2節 科学方法論としての論理学 第3節 哲学的前提をめぐる問題 第4節 言語論のプラグマティズム的含意 1 パラフランシス 2 実態の分類 3 現実的実体とフィクション的実体の関係性 4 認識の発展を支えるフィクション 5 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
高島 和哉(たかしま かずや) 1971年福井市生まれ。東京大学文学部仏文科卒。早稲田大学大学院社会科学研究科博士課程単位取得満期退学。論文博士(学術)。早稲田大学社会科学総合学術院助手等を経て、現在、明治大学兼任講師。
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