▼「クジラの研究者になるのもいいな」 小笠原から極北アラスカ、そして南太平洋バヌアツへ。嗅覚をキーワードに、クジラの進化を追いかけた。日本の調査捕鯨問題にも一石を投じた一冊。
クジラは進化生物学の研究対象として魅力的である。始新世のわずか1000万年程度の短時間で、これほどまで劇的に姿を変えた生物はめったにいない。極端な例の中にこそ、普遍的な法則があぶり出される。形態の劇的な変化の裏側で、どのようにゲノムが進化したのか。生物の進化を考えるにあたって、クジラはこれからも重要な手がかりを与えつづけてくれるにちがいない。<「あとがき」より>
朝日新聞 2016年3月6日読書面(15面)「情報フォルダー」にて紹介されました。
第1章 海に生きる羊膜類 1.1 海から陸へ、そして陸から再び海へ 1.2 海に棲むウシ ―― 鯨類の進化 1.3 クジラの視物質 コラム1 単系統・側系統・多系統
第2章 嗅覚受容体遺伝子 2.1 化学物質をニオイとして嗅ぎ分ける 2.2 脊椎動物の陸上環境進出と嗅覚受容体レパートリーの変化 2.3 鯨類の嗅覚受容体遺伝子
第3章 ホッキョククジラ 3.1 四肢動物海洋環境適応会議 3.2 「嗅覚」とは何か 3.3 ホッキョククジラの嗅覚器官 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
【監修者】 斎藤成也(さいとう・なるや) 1957年生まれ。テキサス大学ヒューストン校生物学医学大学院修了(Ph.D.)。現在は国立遺伝学研究所教授。おもな著書に『DNAから見た日本人』(ちくま新書)、『ゲノム進化学入門』(共立出版)、『Introduction to Evolutionary Genomics』(Springer)、『日本列島人の歴史』(岩波ジュニア新書)などがある。
塚谷裕一(つかや・ひろかず) 1964年生まれ。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了、博士(理学)。現職は東京大学大学院理学系研究科教授。岡崎統合バイオサイエンスセンターおよび放送大学客員教授も努める。おもな著書に、『漱石の白くない白百合』(文藝春秋)、『変わる植物学、広がる植物学』(東京大学出版会)、『スキマの植物図鑑』(中公新書)など。趣味は、植物に関するさまざまなこと、エッセイ書き、おいしいもの探索など。
高橋淑子(たかはし・よしこ) 1960年生まれ。京都大学理学研究科博士課程修了(理学博士)。現在は京都大学大学院理学研究科生物科学専攻教授。おもな訳書に『ギルバート発生生物学』(監訳、メディカル・サイエンス・インターナショナル出版)がある。趣味は歌(合唱)。大阪フィルハーモニー合唱団所属。
【著者】 岸田拓士(きしだ・たくし) 1976年生まれ。京都大学大学院理学研究科博士課程修了。博士(理学)。現在は京都大学野生動物研究センター特定助教。おもな訳書に『生命の歴史――進化と絶滅の40億年』(共訳、丸善出版)などがある。
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