今さら人に聞けない疑問に答えます! 臨床・研究・支援に携わる第一人者が結集して解説。
▼医学と教育の最新の知見から発達障害を解説。
平成19年からの特別支援教育がスタートから現在までに、発達障害についての知識はかなり浸透してきました。しかし、教師の中でも知識・理解の格差は大きく、また障害をもつ子どもの同級生の保護者などの無理解も否定できません。 また、発達障害に関する書籍は多数刊行されていますが、医療と教育の連携に役立つものは少ないのが現状です。 そこで、大切なポイントに焦点を当てて、解説します。
子どものこころと体シリーズの第二弾。
本書を読んだ読者は、各執筆者の立場(小児科医、精神科医、臨床心理士、教育学者など様々です)によって、発達障害に対する見方やアプローチが微妙に違うことに気づくことでしょう。これは、発達障害に対して様々な考え方があることを知っておくことは、一人ひとりの発達障害児・発達障害者にかかわる際にはむしろプラスになるのではないかと思います。人それぞれに個性があるように、発達障害のある方が抱える障害の程度や問題のあり方は千差万別です。そのことに気づき、受け入れることが、本当の支援につながるのではないでしょうか。本書が、そのような理解の助けとなり、柔らかなかかわりへと結びつくように願っています。(黒木俊秀「はじめに」より抜粋)


はじめに ―― 「柔らかなかかわり」を願って(黒木俊秀)
第1章 発達障害って何ですか? ―― 概念・医学的知見を正しく知る 1. 発達障害とはどのようなものをいうのですか?(黒木俊秀) 2. 自閉症スペクトラム症(ASD)とは?(神尾陽子) 3. ADHDとは?(星野仁彦) 4. 学習障害(LD)とは?(黒木俊秀)
第2章 検診や診断・治療はどうなっていますか ―― 発達障害に気づく 1. アセスメントとは何ですか?(立花良 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
(※〔 〕内は、担当章。) 【編著者】〔1章−1、1章−4〕 黒木俊秀(くろき・としひで) 九州大学大学院人間環境学研究院人間科学部門教授。精神科医、臨床心理士。医学博士。 専門は臨床精神医学、臨床心理学。教育と医学の会理事・編集委員。 1958年宮崎県生まれ。九州大学医学部卒業。佐賀医科大学講師、九州大学大学院医学研究院精神病態医学分野准教授、国立病院機構肥前精神医療センター臨床研究部長・医師養成研修センター長などを経て現職。 著書に『語り・物語・精神療法』(共編著、日本評論社、2004年)、『現代うつ病の臨床』(共編著、創元社、2009年)、『うつの構造』(共編、弘文堂、2011年)、『神田橋條治医学部講義』(共編、創元社、2013年)、『精神医学の羅針盤』(共著、篠原出版新社、2014年)、『森田療法で読む強迫性障害』(共著、白揚社、2015年)など。
【著者】 神尾陽子(かみお・ようこ)〔1章−2〕 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所児童・思春期精神保健研究部部長。医学博士。専門は児童精神医学。京都大学医学部卒業。京都大学医学部、九州大学大学院人間環境学研究院を経て現職。 著書に『発達と脳』(共著、医学書院、2010年)、『成人期の自閉症スペクトラム診療実践マニュアル』(監修、医学書院、2012年)、『DSM−5を読み解く1』(編著、中山書店、2014年)など。
星野仁彦(ほしの・よしひこ)〔1章−3〕 福島学院大学大学院教授、同大学附属心理臨床相談センター所長。心療内科医。医学博士。専門は児童青年精神医学、精神薬理学。福島県立医科大学卒業。米国エール大学児童精神科留学の後、福島県立医科大学神経精神科助教授を経て現職。 著書に『発達障害を見過ごされる子ども、認めない親』(幻冬舎新書、2011年)、『私は発達障害のある心療内科医』(マキノ出版、2013年)、『まさか発達障害だったなんて』(共著、PHP新書、2014年)など。
立花良之(たちばな・よしゆき)〔2章−1〕 国立成育医療研究センターこころの診療部乳幼児メンタルヘルス医長。小児科医。医学博士。専門は児童精神医学。東北大学大学院医学系研究科博士課程修了。長野赤十字病院精神科医師、英国Manchester大学医学部児童精神科および王立Manchester小児病院児童精神科博士研究員などを経て現職。
三ケ田智弘(みけだ・ともひろ)〔2章−2〕 大分こども療育センター院長。小児科医・児童精神科医。専門は児童精神医学。熊本大学医学部卒業。熊本大学医学部附属病院、大分大学医学部附属病院、西別府病院、肥前精神医療センターなどを経て現職。 著書に『自閉症かな?と思ったとき』(共訳、診断と治療社、2014年)など。
宮島 祐(みやじま・たすく)〔2章−3〕 東京家政大学子ども学部子ども支援学科教授。東京医科大学小児科学分野兼任教授。小児科医。医学博士。専門は小児神経、てんかん、発達障害。東京医科大学卒業。国立精神・神経センター武蔵病院、東京医科大学小児科学教室講師などを経て現職。 著書に『小児科医のための注意欠陥/多動性障害―AD/HD―の診断・治療ガイドライン』(共編著、中央法規出版、2007年)、『病弱・虚弱児の医療・療育・教育〈改訂3版〉』(共著、金芳堂、2015年)、『子ども学総論』(共著、日本小児医事出版社、2015年)など。
瀬口康昌(せぐち・やすひさ)〔3章−1〕 国立病院機構肥前精神医療センター医長。精神科医。専門は児童精神医学。九州大学医学部卒業。九州大学病院精神科、大分県立病院精神科などを経て現職。 著書に『新版 児童青年精神医学』(共訳、明石書店、2015年)など。
田中康雄(たなか・やすお)〔3章−2〕 こころとそだちのクリニックむすびめ院長。北海道大学名誉教授。児童精神科医。専門は児童青年精神医学。獨協医科大学医学部卒業。旭川医科大学精神科、国立精神・神経センター精神保健研究所児童思春期研究室長、北海道大学大学院教育学研究院教授を経て現職。 著書に『支援から共生への道』(慶應義塾大学出版会、2009年)、『発達支援のむこうとこちら』(日本評論社、2011年)、『「大人の発達障害」をうまく生きる うまく活かす』(共著、小学館新書、2014年)など。
武田鉄郎(たけだ・てつろう)〔3章−3〕 和歌山大学大学院教育学研究科教授。専門は障害児心理学。博士(学術)。上越教育大学大学院学校教育学研究科障害児教育専攻修了。養護学校等の教員、国立特殊教育総合研究所研究員を経て現職。 著書に『慢性疾患児の自己管理支援のための教育的対応に関する研究』(大月書店、2006年)、『慢性疾患の子どもの学校生活』(共著、慶應義塾大学出版会、2014年)など。
服巻智子(はらまき・ともこ)〔3章−4〕 大阪大学・金沢大学・浜松医科大学・千葉大学・福井大学連合小児発達学研究科招聘教員。臨床発達心理士。TEACCH®上級コンサルタント。ソーシャルストリーズ日本語圏公認指導者。米国ノースカロライナ大学、英国バーミンガム大学に留学を経て、厚生労働省発達障害者支援施策検討委員、佐賀県特別支援教育専門家チーム委員、佐賀市発達障害支援施策アドバイザー等を歴任。現在、佐賀大学大学院医学系研究科に在籍。 著書に『自閉っ子、自立への道を探る』(花風社、2006年)、『自閉症スペクトラム 青年期・成人期のサクセスガイド』(クリエイツかもがわ、2006年)、『自閉症スペクトラム ―― クラスメートに話すとき』(共著、エンパワメント研究所、2015年)など。
金城志麻(きんじょう・しま)〔4章−1〕 琉球大学教育学部講師。臨床心理士。専門は臨床心理学。九州大学大学院博士後期課程単位取得後満期退学。久留米市幼児教育研究所非常勤カウンセラー、中村学園大学・中村学園大学短期大学部学生相談室専任カウンセラー等を経て現職。 著書に『軽度発達障害児のためのグループセラピー』(共著、ナカニシヤ出版、2006年)など。
川谷正男(かわたに・まさお)〔4章−2〕 福井大学医学部小児科講師。小児科医。専門は小児神経発達障害。福井医科大学医学部卒業。国立精神・神経センター武蔵病院(現、国立精神・神経医療研究センター病院)小児神経科レジデント等を経て現職。 著作に「小児神経・発達―知っておくべきポイント(小児科診療に強くなる)」(『内科』103巻5号、2009年)、「〈自閉症のきょうだいにも目を向けよう〉きょうだいの立場から」(『子どものこころと脳の発達』2013年3月号)など。
岩坂英巳(いわさか・ひでみ)〔4章−3〕 奈良教育大学特別支援教育研究センター教授。児童精神科医。専門は児童思春期精神医学。奈良県立医科大学卒業。奈良県心身障害者リハビリセンター精神科医長などを経て現職。米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校に留学。 著書に『AD/HDのペアレント・トレーニングガイドブック』(共編著、じほう、2004年)、『ADHDの子どもたち』(共編著、合同出版、2014年)など。
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