『中江兆民全集』『家永三郎集』(ともに岩波書店)などの編集委員として刊行に尽力し、自身も兆民を中心とした日本近代史研究で名高い著者の、長年にわたる研究の成果を集大成。地道な史料収集にもとづいて書かれた、ときに戦闘的な論考が、兆民、馬場辰猪、H・ノーマン、そして著者の師である家永三郎らを印象深くよみがえらせる。本書は、「自由」「民権」「平和」の理想を実現するために、思索を重ね行動した人々を近代史のなかに探る、50年を貫く問題意識の結晶である。

T 1960〜1969 民権運動激化期と中江兆民 中江兆民と明治憲法 「大東亜戦争」論の論理 自由民権派にみられる小国主義思想 日本近代思想の展開 中江兆民と大井憲太郎 ―― 民権思想家のゆくえ ―― 国約憲法か、欽定憲法か ―― 憲法制定 ―― 小国主義か、大国主義か ―― 平和主義の伝統 ―― 書評 萩原延寿著『馬場辰猪』 幸徳秋水 ―― 敢然と平和主義貫く ――
U 1970〜1979 国民の教育権と大学教育 明治 ……
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松永 昌三(まつなが しょうぞう) 岡山大学・茨城大学名誉教授、文学博士(東京教育大学)。日本近代史専攻。 1932年 生まれ。1965年、東京教育大学大学院文学研究科博士課程修了。都留文科大学講師、同助教授、同教授、茨城大学教養部教授、岡山大学文学部教授、日本女子大学文学部教授を歴任。この間、インドネシア大学客員教授、カイロ大学客員教授など。
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