学問が「私」を考えるとどうなるだろう?
慶應義塾大学文学部の公開講座「文学部は考える」の書籍化シリーズ第四弾。 人間存在の最も根源に横たわる「私」について、歴史学、哲学、文学、心理学の多様な領域からアプローチを試みる。
第一章 感受性(パトス)としての「私」 コーディネーター 池谷のぞみ(図書館・情報学専攻) Part 1 キリシタン史における「痛み」 浅見雅一(日本史学専攻) Part 2 私の/と痛み 〜感受性としての私 斎藤慶典(哲学専攻) パネルディスカッション
第二章 文学の中の「私」 コーディネーター 杉野元子(中国文学専攻) Part 1 「わたし」の物語 〜 一人称小説の不思議 吉田恭子(英米文学専攻) Part 2 「わたくしとい ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
【第一章】 池谷 のぞみ(いけや のぞみ) 1997年慶應義塾大学博士課程文学研究科図書館情報学単位取得退学、同年マンチェスター大学博士課程社会科学研究科社会学修了。2011年慶應義塾大学文学部教授。エスノメソドロジーの原則に基づき「活動における知識」に焦点を当て、知識と情報の問題を研究している。
浅見 雅一(あさみ まさかず) 1990年慶應義塾大学修士課程文学研究科修了。1993年文部省長期在外研究員としてスペイン、ポルトガルに留学。2011年同大学文学部教授。16・17世紀のキリシタン時代を研究し、日本と中国への宣教師の布教活動を比較。著書に『キリシタン時代の偶像崇拝』(東京大学出版会)など。
斎藤 慶典(さいとう よしみち) 1987年慶應義塾大学博士課程文学研究科単位取得退学。1994年よりドイツ連邦共和国フンボルト研究員として1年半にわたり研究に従事。2001年同大学文学部教授。専門は現象学、西欧近代・現代哲学。著書に『知ること、黙すること、遣り過ごすこと−存在と愛の哲学』(講談社)など。
【第二章】 杉野 元子(すぎの もとこ) 1991年慶應義塾大学博士課程文学研究科単位取得退学。2007年同大学文学部教授。専門は1930〜1940年代の中国文学。特に満州族出身の小説家で劇作家の老舎、日本軍占領下に活躍した中国人文学者などを研究している。著書に『ユートピアの文学世界』(共著、慶應義塾大学出版会)など。
吉田 恭子(よしだ きょうこ) 1996年京都大学修士課程人間科学環境科修了、2001年ウィスコンシン大学ミルウォーキー校博士課程修了(Ph.D.)。2009年慶應義塾大学文学部准教授。英語での小説の創作、アメリカ現代小説と創作教授法の関係を研究している。著書に『情の技法』(共著、慶應義塾大学出版会)など。
松村 友視(まつむら ともみ) 1982年慶應義塾大学博士課程文学研究科単位取得退学、1998年同大学文学部教授、2011年から同大学大学院文学研究科教授。明治期の日本文学を研究対象とし、とりわけ日本文学と西洋近代の接点に関心を寄せる。著書に『自然と文学 環境論の視座から』(共著、慶應義塾大学出版会)など。
【第三章】 清水 明子(しみず あきこ) 1998年東京大学博士課程人文科学研究科単位取得退学。2000年レーゲンスブルク大学博士課程を修了(Dr. phil.)、同大学文学部講師などを経て、2011年慶應義塾大学文学部准教授。ヨーロッパ周縁にナチズムがもたらした支配の実態、地域の「民族」関係の変容などを解き明かす研究を行っている。
伊東 裕司(いとう ゆうじ) 1982年慶應義塾大学博士課程社会学研究科単位取得退学。博士(心理学)。2000年同大学文学部教授。人間の記憶・理解・学習・問題解決などの認知プロセスを研究し、その成果を社会に活かす応用的な研究にも力を注ぐ。著書に『認知心理学−心のメカニズムを解き明かす』(共著、ミネルヴァ書房)など。
北中 淳子(きたなか じゅんこ) 1995年シカゴ大学修士課程社会科学研究科(文化人類学)修了、2006年マギル大学博士課程人類学部・医療社会研究学部(医療人類学)修了(Ph.D.)。2008年慶應義塾大学文学部准教授。鬱と自殺の医療人類学を研究課題としている。著書に Depression in Japan (Princeton UP)など。
【第四章】 谷 寿美(たに すみ) 1983年慶應義塾大学博士課程文学研究科単位取得退学、1998年同大学文学部教授。宗教哲学全般に興味を持ち、その成立の背景となる精神的風土と対比しながら考察。中でもロシアの宗教哲学者に焦点を絞り研究を行っている。著書に『ソロヴィヨフの哲学』(理想社)など。
西川 尚生(にしかわ ひさお) 1995年慶應義塾大学博士課程文学研究科単位取得退学、2011年同大学教授。モーツァルトを中心とする古典派音楽を研究。特に手稿譜調査を中心とした作品の成立過程、演奏実践、同時代の受容などの解明に力を注いでいる。著書に『モーツァルト』(音楽之友社)など。
藤木 健二(ふじき けんじ) 2011年慶應義塾大学後期博士課程文学研究科単位取得退学、2011年同大学助教。専門はオスマン帝国史、中東都市社会史。特に18世紀イスタンブルを中心に商工業や同職組合を社会史的な視点から研究。最近は公衆浴場や娯楽文化の研究にも取り組んでいる。
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