慶應義塾大学文学部の教員が語る「夢」。
慶應塾大学文学部が2012年春学期に高校生向けに開催した連続公開講座(全4回)「夢を考える」の講演集。 「夢」は日常を越えた美に結ぶ思いであり、明るい希望ですが、同時に現実を見つめた期待や理念の果実でもあります。 17の専攻数を誇る慶應義塾大学文学部の教員陣が、広い学問領域から「夢」の姿に迫ります。

「夢」を追って――文学部の授業へのお誘い 慶應義塾大学 文学部長 関根 謙
第一章 限りなき夢の仲間たち コーディネーター 巽 孝之(英米文学専攻) Part 1 タカラヅカの夢は何でつくられているのか 上田 修一(図書館・情報学専攻) Part 2 夢ふくらむ南海の神秘そして楽園 −歴史人類学の視点から 山口 徹(民族学考古学専攻) パネルディスカッション
第二章 東洋の夢 ― 古典にみる現代へのメッセ ……
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【第一章】 巽 孝之(たつみ たかゆき) 1987年コーネル大学で文学博士号取得(Ph.D)。1989年慶應義塾大学文学部助教授、1997年同大学文学部教授。アメリカ文学思想史を現代批判的視点から再検討している。著書に『ニュー・アメリカニズム』(青土社、1995年度福澤賞)、『リンカーンの世紀』(青土社)など多数。
上田 修一(うえだ しゅういち) 1979年慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程図書館・情報学専攻単位取得退学。1982年同大学文学部助教授、1989年同大学文学部教授。情報の流れ、情報と情報メディアの関係・変容などに関心を持つ。著書に『文読む姿の西東−描かれた読書と書物史』(共著、慶應義塾大学出版会)など。
山口 徹(やまぐち とおる) 2000年オークランド大学大学院人類学部博士課程修了(Ph.D)、2004年慶應義塾大学文学部教授。景観史の視点から、南太平洋の島嶼世界を対象に自然と人間の関係史について調査・研究している。「高い島と低い島−歴史生態学の視点から」『オセアニア学』(京都大学学術出版会)など論文多数。
【第二章】 井上 櫻子(いのうえ さくらこ) 2005年パリ=ソルボンヌ大学大学院文学研究科博士課程修了、2006年京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。2007年慶應義塾大学文学部助教、2012年同大学文学部准教授。フランス18世紀の「描写詩」などを研究。著書に『文学作品が生まれるとき−生成のフランス文学』(京都大学学術出版会)など。
山本 正身(やまもと まさみ) 1987年慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。2001年同大学文学部教授、2008年慶應義塾女子高等学校校長に就任。江戸儒学思想の分析を通して、前近代日本における教育認識の構造や特質を探っている。著書に『仁斎学の教育思想史的研究 』(慶應義塾大学出版会)など。
八木 章好(やぎ あきよし) 慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。2003年同大学文学部教授。『聊斎志異』を主とする中国怪異小説の系譜、および魏晋・明清の文人精神を研究テーマとしている。著書に『心の「ツボ」に効く漢詩・漢文』(講談社)、『「三国志」漢詩紀行』(集英社)、『中国古典文学二十講』(白帝社)、『中国怪異小説選』(慶應義塾大学出版会)など。
【第三章】 宇沢 美子(うざわ よしこ) 1987年慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。2006年同大学文学部教授。アメリカ文学・文化史、特にアメリカにおける「東洋人」像をめぐって、イエローフェイス文学・演劇を研究。著書に『ハシムラ東郷−イエローフェイスのアメリカ異人伝』(東京大学出版会)など。
鹿又 伸夫(かのまた のぶお) 1984年慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。2002年同大学教授。データ分析によってマクロな社会構造を解き明かす計量社会学が専門。進学格差、職業的地位格差、経済的格差など社会的不平等を研究している。著書に『機会と結果の不平等』(ミネルヴァ書房)など。
樽井 正義(たるい まさよし) 1976年慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。1990年同大学助教授、1996年同大学教授。個人の自由・平等など現代の日本社会に定着している人間関係の原理の検討、生命倫理の提起する具体的な課題の考察などを行う。著書に『エイズを知る』(共著、角川書店)など。
【第四章】 藤田 苑子(ふじた そのこ) 1982年オート・ブルターニュ大学レンヌ第2校にて第三課程博士号(歴史と文学)を取得。1998年慶應義塾大学文学部助教授、2005年同大学文学部教授。カトリック教会の記録簿を史料として、18世紀フランスの社会史を研究。著書に『フランソワとマルグリット−18世紀フランスの未婚の母と子どもたち』(同文舘出版)など。
柳田 利夫(やなぎだ としお) 1980年慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。1985年同大学文学部助教授、1998年同大学文学部教授。海外に渡った日本人をモチーフに、歴史学的な手法によって、近代日本人のアイデンティティ形成を考察している。著書に『ラテンアメリカの日系人』(慶應義塾大学出版会)など。
粂川 麻里生(くめかわ まりお) 『ワールド・ボクシング』誌記者を経て、1995年慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。2006年同大学文学部教授。ゲーテが20世紀の思想家に与えた影響、言語・時間・身体などの概念のかかわりについて考察。著書に『サッカーのエスノグラフィーへ』(共編著、社会評論社)など。
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