▼契約法をその基底から捉え直し、履行プロセスを再構築する
契約は締結時に決められたことを自動的機械的に実現されるのではない。履行プロセスを通じて当事者の利益を調整しつつ、最大限の利益となるように実現される。 弁済の提供という履行プロセスでの債務者の最終的な履行段階での行為に焦点を当てて、とりわけ債権者がその受領を拒絶する受領遅滞の場面や、それと対照的な履行遅滞の場面での利益調整の要件を検討する第T巻!
契約法における基礎概念を根源から捉え直しながら、債権法改正の時代における真に必要な議論を提示する。 北居教授による畢生の基礎研究シリーズが遂に刊行!

法律時報 87巻10号に書評が掲載されました。評者は松井和彦氏(大阪大学教授)です。
NBL 1032号(2014年9月)「この本」(65頁)に書評が掲載されました。評者は中央大学法科大学院教授の笠井修氏です。

はじめに
第一章 動態的契約理論 一 はじめに 二 支配的弁済観 1 提供の機能 2 受領遅滞論 3 機械的履行論 4 基本モデルとしての特定物売買 三 批判的弁済観 1 提供の意義の変容 2 受領遅滞論の変貌 3 有機的履行論への端緒 4 基本モ ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
北居 功(きたい いさお) 慶應義塾大学大学院法務研究科教授。 1961年生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業、同法律学科卒業。慶應義塾大学大学院法学研究科修士課程修了、同博士課程単位取得退学。 慶應義塾大学法学部専任講師、同助教授、同教授を経て現職。 本書に収録された論文以外のものとして、「債務不履行における債権者の救済要件――厳格訴権体系から誠実訴権体系への転換」 慶應法学19号(2011年)、「二重売買と危険負担――危険負担制度と契約解除制度の競合」法学研究84巻12号(2011年)、「契約の効力と契約の解除」法律時報81巻10号(2009年)、「合意の対外的効力に関する一考察――債権譲渡担保における譲受人の物的納税責任をめぐって」法学研究80巻7号(2007年)、「19世紀ドイツにおけるアクチオ体系の克服――ヴィントシャイトの『アクチオ論』に関する覚書」人間環境学研究4巻1号(2006年)、「神戸同時履行論再考―神戸寅次郎の解釈理論とその現代への蘇生」安西敏三・岩谷十郎・森征一編著『福澤諭吉の法思想―視座・実践・影響』(慶應義塾大学出版会・2002年)ほか多数。 著書に、『民法とつながる商法総則・商行為法 』(共編・商事法務・2013年)、『コンビネーションで考える民法』(共著・商事法務・2008年)ほか。
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