▼詩人ゲーテが見出した名医フーフェラントは、緒方洪庵をはじめとする江戸の 蘭学医に大きな影響を与えた。その「医戒」は、明治以降も日本の医師たちに継承された。
ベルリンでアジア人初の医学士(MD)を取得した順天堂三代目・佐藤進、 近代薬学の父で、日本の女子高等教育にも尽力した長井長義、 ベルリン大学医学部初の女子聴講生をもぎとった杏林女傑・高橋瑞子、 マールブルク大学で女性として初めてMDを得た宇良田唯。
ゲーテが案内する、豊かでエネルギッシュな日独医学交流の物語。
▼石原あえか先生のサントリー学芸賞受賞後第一作。
東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻紀要 第20巻(2013年12月発行)にて、森孝之氏(北里研究所北里柴三郎記念室、医学博士)より書評をいただきました。
お茶の水女子大学ジェンダー研究センター「ジェンダー研究」 第16号(2013年3月刊行)にて、小川眞里子氏(三重大学特任教授)より書評をいただきました。
プロローグ イェーナ大学独文学研究所の先住人 T 非公式の医学交流 出島に赴任したドイツ人医師たち U 大坂の種痘医・緒方洪庵のライフワーク V フーフェラントを見出した詩人ゲーテ あるいは本書のねらい
第1章 詩人ゲーテと主治医フーフェラント T フーフェラントの父とその患者ゲーテ U 「仮死」をめぐる恐怖 V ヴァイマルにおける種痘普及活動 W イェーナ大学教授抜擢とベストセラー『長寿学』 X フーフェラントの『医戒』と近代日本の医師たち
第2章 「シャリテ」と日 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
石原 あえか(いしはら あえか)
東京大学大学院総合文化研究科准教授。 慶應義塾大学大学院在学中にドイツ・ケルン大学に留学、同大でDr.phil.を取得。学位論文 Makarie und das Weltall (1998)以来、一貫してゲーテと近代自然科学を研究テーマとする。2005年にドイツで刊行した Goethes Buch der Natur により、DAADグリム兄弟奨励賞、日本学術振興会賞および日本学士院学術奨励賞を受賞。2011年、近代日独三角測量史を扱った Die Vermessbarkeit der Erde を上梓。 日本語では慶應義塾大学出版会刊行の著書『科学する詩人 ゲーテ』(2010)によりサントリー学芸賞を受賞。また編著に『産む身体を描く ドイツ・イギリスの近代産科医と解剖図』(2012)などがある。慶應義塾大学商学部教授を経て、2012年4月より現職。
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