契約論の名著、邦訳成る。 ▼ゲーム理論とならぶミクロ経済学における流行のトピック、契約論。この分野の定番書、Firms, Contracts, and Financial Structure, Oxford University Press, 1995の翻訳。 ▼オリバー・ハートが中心となって発展させてきた不完備契約理論を自らサーベイし、わかりやすく伝える解説書となっていると共に、不完備契約理論を適用して企業の範囲や金融構造、さらには破産など多様な問題について理論の発展方向に関する視座を与える。 ▼不完備契約理論は、およそ経済取引において、すべての起こりうる状況を網羅し何が起こっても対処しうる完璧な契約を結ぶことは本来不可能であるという、極めて現実的な認識から出発する。この立場から様々な現象について議論し、さらに伝統的なアプローチが分析の対象としてこなかった「パワー」の問題まで言及される。 ▼企業理論・経営理論の学習者、研究者には必読の1冊。
 特別寄稿「本書を手にとった幸運な読者に向けて」 伊藤秀史氏(一橋大学大学院商学研究科教授)をご覧いただけます。


Journal of Financial Planning 2017年2月号「Book Review」(p.25)に紹介されました。
日本経済新聞 2010年6月27日読書面(21面)で紹介されました。

序 1 所有権の意味 2 企業の境界 3 金融証券 4 パワーの分散 5 触れなかった問題――公的所有
第T部 企業を理解する 第1章 既存の企業理論 1 新古典派理論 2 エージェントという視点 3 取引費用の理論
第2章 所有権アプローチ 1 概説 2 統合のコストと利益についてのモデル分析 3 理論から直接説明される事象 第3章 所有権アプローチの諸問題 1 非人的資産の役割と権限の特性 2 従業員の ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
【著者】 オリバー・ハート(Oliver Hart) ハーバード大学経済学部教授.1974年にプリンストン大学で博士号を取得.その後,ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス教授,マサチューセッツ工科大学教授などを経て,1993年より現職.2000年から2003年まで,同経済学部長も務めた.専門は,契約理論,企業理論,コーポレート・ファイナンス,「法と経済学」など.
【訳者】 鳥居昭夫(とりい あきお) 横浜国立大学経営学部教授.1976年東京大学理学部地球物理学科卒業.1983年東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学.横浜国立大学経営学部助教授等を経て1996年より現職.主要業績に,『日本産業の経営効率』(NTT出版,2001年),『公益事業の規制改革と競争政策(法政大学現代法研究所叢書)』(共編著,法政大学出版局,2005年)など.
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