英語で書かれた「最古の自伝」を本邦初の全訳。 ▼14-15世紀イギリスに生きたマージェリー・ケンプは、14人の子に恵まれる普通の女性であったが、最初の出産で精神を病む。そのとき経験した神の幻視によって回心。以来、キリスト、マリアの幻視や彼らとの対話といった神秘体験を重ねる。ロラード派など宗教問題に揺れるなかで降りかかるあらゆる試練を乗り越え、神の啓示に導かれるまま、イェルサレム、ヨーロッパの聖地巡礼の長い旅を果たす。 ▼本書は、マージェリー晩年の頃に口述筆記された回想の書である。神との甘美なる語らいをとおして、「キリストの花嫁」となった女性の魂の軌跡を追体験する。
本書は、日本図書館協会選定図書です。
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『マージェリー・ケンプの書』 第一巻 第二巻
マージェリー・ケンプ略年譜 主要参考文献 解題 訳者あとがき 索引(人名/地名/事項)
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石井美樹子(いしい みきこ) 神奈川大学外国語学部大学院教授。津田塾大学大学院英文学研究科修了(文学博士)。英国ケンブリッジ大学大学院英文学科で中世英文学を専攻。主著に『薔薇の冠――イギリス王妃キャサリンの生涯』(朝日新聞社、1993年)、『イギリス中世の女たち』(大修館書店、1997年)、『聖母のルネサンス――マリアはどう描かれたか』(岩波書店、2004年)など多数。
久木田直江(くきた なおえ) 静岡大学人文学部教授。2001年、英国エクセター大学からPh.D.(英文学)を取得。著書に『マージェリー・ケンプ――黙想の旅』(慶應義塾大学出版会、2003年)、Margery Kempe’s Meditations: The Context of Medieval Devotional Literature, Liturgy and Iconography, Religion and Culture in the Middle Ages (Cardiff: University of Wales Press, 2007)がある。
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