14-15世紀のヨーロッパは、宗教的情熱につき動かされた女性達が輩出した時代であったが、本書はこの時代のイギリスを代表する女性神秘家の1人、マージェリー・ケンプに関する我が国初の書。英語による最古の自叙伝を軸に、類まれなる行動力、研ぎ澄まされた感性、揺ぎない信仰をもって激動の時代を生き抜いた市井の一女性の霊的成長の姿を描く。彼女の黙想に表れた視覚的イメージの文学的・図像学的背景についても考察する。
はじめに
第一章 十四世紀のノーフォーク 第二章 中世後期の神秘主義思想とマージェリーの霊性
第三章 マージェリーの前半生――富裕商人の妻から神のしもべへ
第四章 エルサレム巡礼とローマ滞在
第五章 故郷への帰還
第六章 マージェリーの霊的成長――救済史の黙想
第七章 マージェリーと女性聖人たち
第八章 聖燭祭とミサ聖餐の神秘
第九 ……
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1957年札幌市生まれ。2001年、英国エクセター大学から博士号(文学)取得。北海道大学医療技術短期大学部を講師・助教授を経て、2003年より静岡大学人文学部教授。主要論文は以下に掲載されている。The Medieval Mystical Tradition: England, Ireland and Wales, ed. by Marion Glasscoe (Cambridge:D.S. Brewer, 1999); Writing Religious Women: Female Spiritual and Textual Practices, ed. byDenis Renevey and Christiana Whitehead (Cardiff: University of Wales Press,2000); Leeds Studies in English 33(2002)など。
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