深淵の旅人たち
ワイルドとF・M・フォードを中心に
|
作家たちの「旅」からイギリスを読む。 大都市ロンドンがゴシック小説を生んだ。 伝統と常識への反発が新しい悲喜劇を作り出した。 深い塹壕と泥沼の戦場が、絶望と希望をあわせもつ小説の誕生の場となった。 ――人々が不安と焦燥感にかられた一九世紀後半から第一次世界大戦までのイギリスを、ブラム・ストーカー、スティーヴンソン、オスカー・ワイルド、フォード・マドックス・フォードなどの作家たちの「旅」から読み解く。

はじめに
第I部 一九世紀末イギリスのゴシック・ワールド 一九世紀末の英国の危機意識と文学--ブラム・ストーカーとオスカー・ワイルドを中心に-- 境界の破壊者としての吸血鬼--ブラム・ストーカーの『ドラキュラ』を読む-- 一九世紀末ロンドンの旅人たち--旅行記としてのゴシック小説を読む--
第II部 危うい旅人、オスカー・ワイルド 『獄中記』再考--深淵におけるワイルドの思想-- 旅する女たち--ワイルド劇の女主人公におけ ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
河内 恵子(かわち けいこ) 1953年兵庫県生まれ。1981年慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程修了。 現在、慶應義塾大学文学部助教授。 専攻:19世紀末から現代までのイギリス小説 主な著作:'Oscar Wilde and Tragicomedy'(Poetica, No.25, 26,1987),『オスカー・ワイルド事典』(共著、北星堂、1997)、『アカデミックライティング応用編』(共著、慶應義塾大学出版会、1999)、『オスカー・ワイルドの世界(仮題)』(共著、開文社、近刊)。 翻訳:『ドイツの中のユダヤ』(ピーター・ゲイ著)(思索社、1987)、『ドラキュラ・ホームズ・ジョイス』(フランコ・モレッティ著)(共訳、新評論、1987)。
|