21世紀に求められる人をいかに育てていくべきか。教育のあり方が問われる今、福澤諭吉の精神「独立自尊」を継承する私学の雄、慶應義塾の教育理念を伝え、教育の明日を考える。
福澤諭吉は、独立自尊の人間として、1人ひとりが学問をし、自分で判断できる、何がよいかを考えて生きていけるようにならなければいけないと『学問のすすめ』を著した。学校は人にものを教えるところではなく、本来持っている資質、これを発達させ、これを妨げないで発育させることが教育なのだ、そこに教育の本来の姿がある……と述べている。 本書は、「教育」が問われる今、広く各界に福澤諭吉の精神を継承する慶應義塾の教育理念を伝え、教育の明日を考える指針となることを願って出版するものである。
I 歴史と使命 二十一世紀教育改革の原点 慶應義塾 鳥居泰彦
II 明日の教育 これからの社会と教育 石川忠雄 二十一世紀の教育 相磯秀夫 児童・生徒のメンタルヘルス 小此木啓吾
III 諭吉のこころ 福澤諭吉と教育 飯田 鼎 福澤諭吉の教育思想 村井 実 福澤諭吉の「教育の仕組」論 松本 憲 福澤諭吉と幼稚舎 中川真弥
あとがき
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
鳥居泰彦(とりい やすひこ) 慶應義塾長。経済発展理論。1966年慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程修了。主要著作『経済発展理論』(東洋経済新報社、1996、初版1979)。
石川忠雄(いしかわ ただお) 慶應義塾前塾長、慶應義塾大学名誉教授。(財)交詢社理事長。中国現代史。1946年慶應義塾大学経済学部経済学科卒業。主要著作『中国共産党史研究』(慶應義塾大学出版会、1959)。
相磯秀夫(あいそ ひでお) 慶應義塾大学名誉教授、東京工科大学学長。計算機工学。1957年慶應義塾大学大学院工学研究科電気工学専攻修士課程修了。主要著作『計算機アーキテクチャ』(岩波書店、1982)。
小此木啓吾(おこのぎ けいご) 慶應義塾大学環境情報学部客員教授。精神分析学。1954年慶應義塾大学医学部精神医学科卒業。主要著作『現代人の心理構造』(日本放送出版協会、1986)。
飯田 鼎(いいだ かなえ) 慶應義塾大学名誉教授。社会政策論・日本経済学史。1949年慶應義塾大学経済学部経済学科卒業。『飯田 鼎著作集』全8巻刊行中(お茶の水書房)。
村井 実(むらい みのる) 慶應義塾大学名誉教授。教育学。1944年広島文理科大学教育学科教育学専攻卒業。主要著作『教育学入門』上・下(講談社学術文庫、1976)。
松本 憲(まつもと あきら) 慶應義塾大学名誉教授。教育学。1969年慶應義塾大学大学院社会学研究科教育学専攻博士課程修了。主要著作『社会教育概論』(学文社、1980)。
中川真弥(なかがわ しんや) 慶應義塾前幼稚舎長、慶應義塾名誉教授。教育学。1955年慶應義塾大学文学部哲学科卒業。主要著作『福澤諭吉の小学塾―慶應義塾幼稚舎』(萱原書房、1999)。
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