・天使は中世版AI!?
・身体なき完ぺきな知性である天使に、中世はなぜ熱狂し、何を求めたのか――。 ・「完ぺき」だからこそ悪魔に堕落する、その矛盾に人と天使だけがもつ「自由」を追究する。 ・中世哲学を「天使」で攻略する入門書。
中世では、天使は神と人間の中間に位置し、「人間とは何か」という問題を解明するカギとして盛んに議論された。 ときには天体の動かし手として、世界統治を司る「大臣」として、さらには中世版AIのような身体なき純粋知性として、つねに天使は哲学の中心にあった。
本書は、古代ギリシアから受け継いだ世界観を背景に、プラトン主義・アリストテレス主義という二大伝統を経由して、トマス、スコトゥス、オッカムら代表的な哲学者によって「天使論」が〈存在論〉〈認識論〉〈倫理学〉として体系化される軌跡をたどる。
近現代にたしかに息づく知と自由への渇望に、天使と悪魔がいざなう中世哲学入門――

はじめに 1 なぜ天使が哲学の問題になるのか 2 中世哲学の考え方 3 「天使の哲学」の問い 4 「人間の哲学」としての天使論
第一章 この世界はどのようにして始まったのか―プラトン主義と「創世記」 1 はじめに 2 世界創造の物語―プラトン『ティマイオス』 3 古代ギリシアからキリスト教へ―「創世記」と「無からの創造」 4 中世哲学と『ティマイオス』の出会い 5 おわりに
第二章 天使のいる「世界」―ヒエ ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
石田隆太(いしだ りゅうた) 1988年生まれ、同志社大学文学部助教、博士(文学、筑波大学、2018年)。専門は西洋中世哲学、特に個体化、天使論、物質主義の哲学史。主な業績に、「天使学の共時的構造化――井筒、コルバン、アクィナス」(『理想』706号)、『デカルト全書簡集 第四巻』(共訳、知泉書館、2016年)、ウンベルト・エーコ『中世の美学――トマス・アクィナスの美の思想』(共訳、慶應義塾大学出版会、2022年)、西洋中世学会編『西洋中世文化事典』(共著、丸善出版、2024年)などがある。
|