天使の哲学
中世哲学入門講義

はじめに 1 なぜ天使が哲学の問題になるのか 2 中世哲学の考え方 3 「天使の哲学」の問い 4 「人間の哲学」としての天使論
第一章 この世界はどのようにして始まったのか―プラトン主義と「創世記」 1 はじめに 2 世界創造の物語―プラトン『ティマイオス』 3 古代ギリシアからキリスト教へ―「創世記」と「無からの創造」 4 中世哲学と『ティマイオス』の出会い 5 おわりに
第二章 天使のいる「世界」―ヒエラルキーを求めて 1 はじめに 2 「大臣」としての天使?―アガンベンの天使論 3 「ヒエラルキー」の誕生 4 存在の大いなる連鎖 5 おわりに
第三章 天体を動かす天使たち―アリストテレス主義と世界の永遠性 1 はじめに 2 永遠に生成変化する自然界 3 第一原因としての「神」 4 一三世紀の論争 5 おわりに
第四章 そもそも天使は存在するのか―プラトン主義とアリストテレス主義の総合 1 はじめに 2 「針の上で天使は何人踊れるか」 3 天使は宇宙のなかにいるのか 4 天使はそもそも存在するのか―トマス・アクィナスの場合 5 おわりに
第五章 天使は身体をもつのか@―聖書からトマスまで 1 はじめに 2 悪魔の体、天使の体―ロンバルドゥスによる疑義 3 「質料形相論」とは何か 4 「質料とは何か」をめぐる議論―トマスの批判 5 おわりに
第六章 天使は身体をもつのかA―トマスとボナヴェントゥラの対立 1 はじめに 2 「可能」や「現実」とは何か?―物体性と質料性 3 「質料」はどこまで遡れるか? 4 天使論の表面化と節約の原理―スコトゥスとオッカム 5 おわりに
第七章 思考実験としての天使の知―「身体なき精神」は何を思うか 1 はじめに 2 「空中人間」と「我思う、ゆえに我あり」 3 天使の認識とは何か 4 媒介としての形相 5 おわりに
第八章 中世版AI?―生得説と経験論の対立 1 はじめに 2 私たちの頭は白紙なのか―ロックとライプニッツ 3 生得説を体現する天使―トマス・アクィナス 4 天使も経験を通じて賢くなるか―スコトゥスとオッカム 5 おわりに
第九章 悪という自由―主知主義から主意主義へ 1 はじめに 2 善とは何か、自由とは何か―主知主義 3 天使の自由意志―主意主義 4 意志の悪徳―主意主義の先鋭化 5 おわりに
第一〇章 悪への固執―自由の究極 1 はじめに 2 知性が悪に固執する―トマス・アクィナス 3 意志が悪に固執する―ガンのヘンリクス 4 悪魔も内面において自由である―スコトゥスとオッカム 5 おわりに
終章 宇宙から天使が消えた後―善悪を生きる人間の哲学 1 哲学史の主役は誰か 2 天使主義の行方―デカルトの書簡から 3 人間の上昇―エディット・シュタインの天使論 4 最後に―中世哲学の天使論「再考」
引用文献 読書案内 あとがき 索引
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